シュルレアリスム
シュルレアリスムは芸術の形態、主張の一つ。超現実主義ともいう。英語流にシュールリアリズムとも呼ばれ、シュールと省略形で呼ばれる場合もあるが、シュールという表現が使われるときにはシュルレアリスムそのものよりもやや難解でアーティスティックであるというくらいの意味であることも多い。芸術運動としてのシュルレアリスムのはじまりは、シュルレアリスム宣言が発せられた1924年で明確であるが(なお、それ以前でも、シュルレアリスム的な作品は存在する)、その終わりには諸説ある。例えば、第二次世界大戦が終わった1945年までとする説、シュルレアリスム運動のリーダーであり「帝王」であったアンドレ・ブルトン (André Breton, 1896-1966)が他界した1966年までとする説があり、さらには、ブルトンの死以降も続いていたとする説もある。また、第二次世界大戦以降も続いていたという説の中には、大きく分けて、第二次世界大戦以前の運動に参加した者の戦後の活動のみをシュルレアリスムと認める説と、戦後に活動を開始した者も含める説の2つがある。後者の説については、いわゆる幻想絵画との境界線につき、さらにいろいろな説がある。
シュルレアリスムは、思想的にはジークムント・フロイトの精神分析の強い影響下に、視覚的にはジョルジョ・デ・キリコの形而上絵画作品の影響下にあり、個人の意識よりも、無意識や集団の意識、夢、偶然等を重視した。このことは、シュルレアリスムで取られる技法や手法と、深い関係にあることが多い。
なお、ダダとシュルレアリスムの関係であるが、ダダに参加していた多くの作家がシュルレアリスムに移ってきているという事実からもうかがえるように、既成の秩序や常識等に対する反抗心という点においては、思想的に接続している。しかし、否定や反抗に徹して、極端な自己破滅や自縄自縛的な自己否定に向かわざるを得なかったダダと異なり、前述の精神分析的な面を取り入れることにより、いい意味でも悪い意味でも、「ソフィスティケイト」されたシュルレアリスムは、ダダとは一線を画す「大人の芸術」といえよう。シュルレアリスムに女性作家が多いのも、この点が理由だとする論者もいる。
シュルレアリスムに属する主たる画家としては、マックス・エルンスト、サルバドール・ダリ、ルネ・マグリット、イヴ・タンギー、ポール・デルヴォーなどがいる。ダリはルイス・ブニュエルのシュルレアリスム映画『アンダルシアの犬』(1928年)にも参加している。
ダダにも参加しているシュルレアリスム写真家・画家・オブジェ作家として、実験映画も作っているマン・レイ(Man Ray, 1890-1976)も挙げられる。画家でもある写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンもこの頃シュルレアリスムの影響を受けているとも言われる(後には構成主義の影響も見られる)。
日本におけるシュルレアリスム
日本におけるシュルレアリスムの画家としては、古賀春江 (こが はるえ、1895年 - 1933年)、福沢一郎 (ふくざわ いちろう、1898年 - 1992年)、北脇昇 (きたわき のぼる、1901年 - 1951年)などがいる。
日本におけるシュルレアリスムは、ダダとは基本的に連続性がない。日本においてダダに属するとされる作家(MAVOに属する作家等)のほとんどがシュルレアリスムに移ってきておらず、逆に、日本のシュルレアリストのほとんどがダダイストとして活動していないのである。このこともあり、日本のシュルレアリスムは、思想的に脆弱である、思想がなく技法のみを移入したにすぎない、といった批判にさらされることが多い。
シュルレアリスムが転じて、現代語で「シュール」と言えば物事が常識を外れて奇妙な事を言う。
技法等
オートマティスム(自動筆記) デペイズマン 優美な屍骸 フロッタージュ コラージュ デカルコマニー トロンプ・ルイユ
関連項目
美術 写真