パーソナルコンピュータ
パーソナルコンピュータ(Personal Computer、略称「パソコン」あるいは「PC」=ピーシー)とは、個人単位で利用できるコンピュータ。単に「コンピュータ」と呼ばれることもある。
概要
大型で高額かつ専門家にしか使えない「コンピュータ」(汎用機、メインフレームなどと呼ばれる)はもちろん、オフコン ミニコンなどは、1台のコンピュータを複数人で利用する形態だったが、パソコンでは、一台を一人が占有して利用することが可能であることから「パーソナル」を冠して呼ばれるようになった。現在一般的な製品では、入力機器としてキーボード、マウスなどのポインティングデバイス、出力機器としてディスプレイ、プリンタなどとのセットで利用する。
形態
大別して、机上等に設置して移動させないで使用するものと、持ち運んで使用するものに分けることができる。デスクトップ型、「タワー型」「一体型」等は前者、「ラップトップ型」、「ノートパソコン」は後者になる。
固定型
- デスクトップ型
- かつては横型の筐体を使用したものをこのように呼んでいたが、現在ではミニタワーなどの形状でも机上に置くことができるものはデスクトップ型と呼ぶ場合が多い。
- タワー型
- 大きさによって、フルタワー、ミニタワー、マイクロタワー、スリムタワーなどがある。
- 一体型
- 本体(CPU、HDD 等)、ディスプレイをひとつの筐体に収めたもの。製品によってはキーボードも一体化している場合がある。バッテリーを内蔵せず、CPU、メモリー等もデスクトップ用を用いたノート型デスクトップも登場している。
- 本体(CPU、HDD 等)、ディスプレイをひとつの筐体に収めたもの。製品によってはキーボードも一体化している場合がある。バッテリーを内蔵せず、CPU、メモリー等もデスクトップ用を用いたノート型デスクトップも登場している。
可搬型
- ラップトップ型
- 本体、ディスプレイ、キーボードをひとつの筐体に収め、移動のためのハンドルを持った形状のもの。現在のノートパソコンのような小型軽量のものが登場するまでは、可搬型といえばこれしかなかった。なお、電池を内蔵せず、使用時はAC電源が必要なものもある。
- ノートパソコン
- A4ノートサイズ以下の大きさで、折りたたんで持ち運び可能なもの。
- サブノート
- ノートパソコンの中で小型のもの。おおむねB5版以下あるいは、A4版で特に薄型のものをさす場合が多い。
- ミニノート
仕様
現在、一般的に出荷されるパソコンは、CPUにインテルの80x86(AMDなど他社製互換CPU含む)、OSとしてMicrosoft Windowsを搭載したPC/AT互換機(いわゆるWintel=ウィンテル仕様PC)が大勢を占める。他にはPowerPCと独自仕様OSを用いたMacintosh(マッキントッシュ)が、教育・出版・デザインなどの分野で一定の支持を得ている。
また、LinuxにWindows風味のデスクトップ環境(KDEなど)を加えオープンソースのMicrosoft Office互換オフィススイートをプリインストールしたLinux PCを普及させようという動きがあるが、まだ普及するきざしは見られない。
日本では、漢字やひらがな等英語圏の文字に比べて特殊といえる日本語(マルチバイト文字)利用のためのハードウェア・ソフトウェアの追加が必要なため、1990年代前半までNEC、シャープ、富士通などが独自仕様や、PC/AT互換機に日本語を扱うためのハードウェア的な拡張を施したAX仕様の機種を開発・販売していたが、1990年にPC/AT互換機単体で日本語が取り扱えるOS「DOS/V」が開発されたことや、1993年のWindows3.1の発売・普及とともにPC/AT互換機に移行した。
歴史
米国における歴史
個人で使える情報処理装置としては1970年代にIBM(model 5100)やHP(model 9830,9835など)から卓上型のコンピュータが発売されていたが、高価であり個人はもちろん大企業でも限られた部門で購入できたに過ぎなかった。1970年代中ごろに普及し始めた8ビットマイクロプロセッサを用いて、ごく限定された機能・性能ながら個人の計算やデータ処理を行うことができ、価格的にも手が届くコンピュータが作られるようになった。当初は箱型の筐体にCPUや記憶装置を収容し、端末を接続する形態のものが用いられた。MITS社のAltairやIMSAI(8080)がその代表格である。この時代には、まだマイクロコンピュータ(マイコン)などと呼ばれていた。
アップル社が1976年に、ガレージで製造したApple Iを史上初のパソコンとして販売、さらに翌年発売したApple IIが大成功を収め、同社の基礎を作るとともにパソコンの普及を促した。これはキーボードを一体化し、ビデオディスプレイ機能を内蔵、拡張ボードで入出力装置や記憶装置の増設を可能にしたもので、今日のパソコンの基本的な構成をすでに満たしている。また、整数型BASICインタプリタをROMで搭載し、スイッチを入れたらすぐに使えるようになっていた(後に実数型Microsoft Basicをカセットテープで、さらにAppleII Plus以降はROMに搭載して供給)。
当時、多くのメーカーが参入し独自仕様で競合したが、16ビットCPU時代の幕開けと共に参入したIBMのパソコンIBM Personal Computer model 5150(通称IBM-PC、あるいは単にPCとも)がハードウェア仕様のオープン化やマイクロソフトとの協調、加えて何よりも大きい同社のブランド力でビジネス市場で大成功を収めた。当初IBMより優位なハードウェアを発売していた他のPCメーカーもIBM-PC互換機を発売して、互換機市場が拡大した。IBMはハードディスクを内蔵したPC/XTに続いてCPUを高速版のIntel 80286にしたPC/ATを発売、他社も互換製品を発売して独自仕様のPCを圧倒しPC/AT互換機が業界標準になった。
一方、アップルはApple III(Apple3)が製造上の問題で失敗したが、一気にGUIとマルチタスクを備えたLisaを発売し注目を集めた。しかしこれも高価すぎて営業的には失敗に終わり、Lisaの縮小版のMacintoshを1984年に発売し一定の成功を収めた。
Macintoshは、現在でも、PC/AT互換機にくらべシェアは小さいものの、いまだに根強い人気がある。
日本のパソコンの歴史
日本では、PC/AT互換機(いわゆるDOS/V機)が普及するまでは、パソコンはアメリカなどとは影響を受けながらも、独自の道を歩んでいた。
黎明期・キットの時代
1976年8月3日、NECよりTK-80が発売された(定価88,500円)。本機はTK(Training Kit)という名前から分かるように、元来はi8080互換マイクロプロセッサの評価・教育用ツールであった。本家Intelの評価キットSDK-80はテレタイプ端末を想定したデバッグモニタが付いており、より高機能であったが高価かつ、一般には流通しないものであった。これに対し、TK-80ボードに16進キーボードとLEDがついただけのものだったが、同年9月に秋葉原に開設したBit-Innでサポートが行われるなど、積極的なユーザー支援体制もあって、企画当初の予想を超えたベストセラーになった。
1977年には、整数型BASICインタプリタROM、ビデオ表示回路、JISキーボードなどからなるTK-80BS(Basic Station)発売(定価128,000円)。同時に、廉価版としてのTK-80Eも発売された(定価67,000円)後に実数型BASICも供給され、「マイコン」として使われるようになった。
同時期の他社のトレーニングキットとしては、東芝のEX-80(i8080)、PanafacomのLKIT-16(同社のL-16A/MN1610),日立のH68-TR(6800)(アセンブラと電卓型のフルキーボードを標準装備していた)などがあった。海外ではKIM(6502)やAIM-65(同)などがあった。 これらは全てのチップが乗った基盤のまま販売されていたのでワンボードマイコンと呼ばれた。
8ビット・BASICの時代
当時は電源をいれればBASICが立ち上がる、それがパソコンであった(但しMZ、X1シリーズを除く)。初期のパソコンは画面はテキストと貧弱なグラフィック、音はビープ音か単音1~3オクターブ、外部記憶装置はカセットテープが標準の状態であった。RAMを始め各種の機能は増設可能な場合もあったが高価であった。
NECはCOMPO-BSを1979年春に発売したが、これはTK-80EとTK-80BSを筐体に一体化したものであった。本格的なPCとしては、NECのPC-8001(1979年)、シャープのMZ-80K(1978年)、日立のベーシックマスターMB-6880(1978年)の3機種が日本の最初期のパソコンであろう。
こののちさまざまなメーカーがパソコンを発売する。その中では富士通がFM-8(1981年)、又機能を削ったFM-7(1982年)を出し、シェアを伸ばした。日立はベーシックマスターL3、NECはPC-8800シリーズで、それぞれ対抗した。シャープからはMZシリーズとは別の事業部からX1シリーズが登場した。その他のメーカーもパソコン事業に進出したが苦戦が続き、マイクロソフト・アスキーによるMSXの規格にはこれらの各社がこぞって参加した(パソコン大手で参加したのは富士通のみであった。MSX以前の各社のパソコンとしては東芝=パソピア、三菱=マルチ8、松下=JR、カシオ=FP-1100、ソニー=SMC-70、ヤマハ=YIS等)。グラフィックの精細化、音についてはPCM音源・FM音源化、外部記憶装置はFDが標準的となっていった。
この時代、I/O、月刊アスキー、RAM、マイコンといった総合誌が先行して発売されていたが日本ソフトバンクが各メーカー別の雑誌を発売した(Oh!PC、Oh!MZ等)
パーソナルな存在ではないが、沖電気のif800シリーズや今はなきSORDのMシリーズもよく雑誌の広告を飾っていた。
ハンドヘルドPCと称して(後のWindowsCE Handheld PCとは異なりA4判程度)の携帯PCが一部メーカーから出たのもこのころである。
PC-8201(NEC)、HC-20/40(エプソン)、TRS-80model100(Tandy)
ビジネスユースとゲームという2つの市場の要望に、前者を16ビット機に、後者をコンシューマー機に奪われるという形で8ビットパソコンはその幕を閉じることとなる。
16ビット・MS-DOSの時代
1982年頃には16ビットCPUが開発され、長くベストセラーとなった「PC-9800シリーズ」が登場し、その他の国産機も16ビット化が始まっていた。
ここでIBM-PCが使用しているMS-DOSと8ビット時代からのOS、CP/M-86のどちらを採用するかといった問題が起こり、後者を選択したメーカーも三菱、富士通など複数社が存在したが、IBM-PC/XTで採用されたPC-DOS2.0の日本語版であるMS-DOS2.1日本語版が登場するとほどなく市場を制した。
PC-9800シリーズ、PC-100、エプソンのPC-9801互換機。マルチ16、パソピア1600、MZ-5500、FM-16β、FM-R、FM TOWNS、X68000、AX。
32ビット・Windowsの時代
1990年頃には32ビットCPUが開発され、独自設計の国産機も32ビットCPUを採用する機種が現れた。しかし、同時期にはPC/AT互換機で日本語の取り扱いが可能になるオペレーティングシステム「DOS/V」が登場し、また1991年にはWindows 3.0が発売され、世界的な標準機である「PC/AT互換機」が上級ユーザーを中心に日本に流入し始めた。1993年に、改良されたWindows3.1が発売されると、統一された規格に沿った部品が世界的に豊富に流通し、コストの面でも有利なPC/AT互換機が売れるようになり、国内独自パソコンを発売していた富士通やNECも、ついにPC/AT互換機(FMVやPC98-NX)を出し、1995年にWindows 95の発売が開始されると国内独自パソコンは終焉へ向かう。2003年9月、ついにPC-9800シリーズにピリオドが打たれた。
なおWindowsにはNT系列と95系列とふたつの系列があったが、今はNT系列に統合されている。 95系列の主なOS:Windows 95/98/Me NT系列の主なOS:Windows NT4.0/2000/XP
PCの販売形態やモデルサイクルなど
1990年代前半までの、NECのPC-9800シリーズ全盛時代は、おおよそキーコンポーネンツ(主要部品)となるCPU(マイクロプロセッサ)の進化時期に対応した商品サイクルで、半年から1年程度の商品サイクルとなっており、NECの新商品発売に少し遅れるタイミングでエプソンが対抗機種をNECより安い価格で発売する状態であったが、Windows95が本格的に立ち上がり始め、多数の海外系メーカーが日本に参入を始めた1996年頃から商品サイクルの短期化が進み、モデル末期には希望価格の半額以下で投売りされることも多く、生鮮食品に例えられるようになってきた。現在では、各社とも年4回の季節ごとの新モデルの発売が定着し、無理なシェア争いを回避する方針となって生産量も押さえ気味にされ、かつてのように旧モデルの在庫品などを安く購入する手法は困難となっている。
また、デルなどアメリカ合衆国で実績を伸ばした、比較的低価格で直接販売するメーカーの進出もあり、現在では主要メーカーのほとんどが、店頭やOAディーラなど従来の流通ルートを使った販売と自社ウェブサイトによる直接販売(需要予測精度の向上の目的もある)の両方を行っている。
PCとリサイクル
ムーアの法則に代表される半導体素子の微細化の恩恵を受け、より高速・高機能なCPUを用いた製品市場に投入され、そうした最新版のハードウェアに対応したソフトウェアが普及するにつれ、旧型製品の買い替えサイクルは短くなる。そのため廃棄されるPCの台数が増加しており、資源の有効活用や環境保護の面から問題点が指摘されるようになった。そのため、家庭電化製品と同様に「資源の有効な利用の促進に関する法律」の適用を受けることになり、2001年4月1日から企業や個人事業者、2003年10月1日から家庭用で不要となった物はメーカーが回収し、再利用、保守部品、資源として利用されている。但し自作PCやメーカーが撤退や倒産した場合は、従来通り自治体が回収する。そのほか従来から中古PC市場が形成されており、PC活用のノウハウを持ったユーザを中心に利用されてきたが、中古品の品質保証や付属ソフトウェアのライセンス譲渡の点で不安を抱く購買者もいた。こうした市場、および環境問題への配慮していることのアピール、顧客満足度向上などをはかるため、下取りした自社製PCを再生して「Refreshed PC」などとして中古販売ルートで販売するメーカーも出現した。
主な製造(販売)社
IBM アップルコンピュータ 日本電気(NEC) シャープ 富士通 ソニー ヒューレット・パッカード(HP) デル(DELL) 東芝 松下電器産業 ソーテック
機種
PC-9800シリーズ PC-8800シリーズ マッキントッシュ VAIO ダイナブック FMV ネットビスタ Thinkpad MSX X68000
関連項目
コンピュータ用語一覧 コンピューターゲーム アラン・ケイ アダム・オズボーン