ヤコブの手紙
ヤコブの手紙(ヤコブのてがみ)は、新約聖書中の一書簡。(希:lakdbou 羅:Epistula lacobi)。日本ハリストス正教会では「イアコフの書」という。ヤコブという署名があり、伝統的に主の兄弟ヤコブと同定されて来たが、学術上は殆ど受け入れられていない。紀元100年前後に、パレスチナかシリアにおいて執筆されたと考えられる。
特徴
書簡の形式をとっているが、むしろ教訓集に近い。その内容が多岐に亙ることから、幾つかの教説文書の断片とも考えられている。また、共観福音書のイエス語録と共通する点が多く含まれている。律法を強調し、信仰のみでなく具体的な行動を伴うことによって義とされること説く(2:24 他)。その背後にユダヤ教的キリスト教のグループの存在を想定させる。この点においてマタイ伝と思想的に近く、パウロの所謂「信仰義認説」(ローマ書等)と鋭く対立する。ルターが、その翻訳にあたって付した「ヤコブの手紙への序文」で本書を「藁の書簡」と呼び、低く位置付けたのはこのためである。作者はパウロ的教会を知っており(パウロ書簡の存在も?)、その批判として書かれた。