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モグラ目

モグラ目 (食虫目)
Insectivora
アフリカトガリネズミ目
Afrosoricida
分類
界:動物界
門:脊索動物門
亜門:脊椎動物亜門
綱:哺乳綱
目・科
モグラ目 (食虫目) • ソレノドン科  • トガリネズミ科  • ハリネズミ科  • モグラ科 
アフリカトガリネズミ目 • テンレック科  • キンモグラ科 

モグラ目は、脊椎動物亜門哺乳綱に属する生物群である。食虫目(しょくちゅうもく)、食虫類(しょくちゅうるい)ともいう。
代表的なグループとして、トガリネズミ、モグラ、ハリネズミの仲間を含む。現生で6科・約60属・約350種からなるが、その70%はトガリネズミ類によって占められている。
化石群としては5科ほどが知られ、ほかに最近絶滅した1科がある。

形態的な特徴

モグラ目(食虫目)は、細長い吻(ふん)と短い前後肢をもつ、ほとんどが小型の哺乳類で、その中には、世界最小の哺乳類であるコビトトガリネズミ(体重約 2g )も含まれる。最も大きなもの、すなわちポタモガーレやテンレックでも、ネコ程度の大きさで、前者は体重 1kg ほど、後者は 0.5-1.5kg ほどしかない。
モグラ目のすべての種は、歩くときに手のひらと足の裏を地面に全面つける蹠行性(しょこうせい/せきこうせい)か、半分つける半蹠行性である。手足には鉤爪をもつ。指の数は(後肢の指が4本しかないヨツユビハリネズミを例外として)前後肢とも5本である。
モグラ目の形態的な特徴としては、比較的小さくてシワの少ない、眼窩後縁の骨の欠如、ほとんど化骨していない鼓胞、鼓骨輪に直接付着する鼓膜、原始的な鎖骨などが挙げられる。 もう一つの特徴は、鐙骨(あぶみこつ)血管が脳への血液供給の主な通路となっていることである。 さらに、精巣が陰嚢(いんのう)の中に下りず、腹腔内にとどまっていたり、総排出腔をもつものもあるが、このような原始的な特徴は、カモノハシ目(単孔目)やフクロネズミ目(有袋目)と共有されている。

生態

モグラ目の動物の生活圏は、地上、地中から樹上、水中まで広範囲にわたるが、そのほとんどは夜行性または薄暮性の単独生活者である。多くは嗅覚聴覚がよく発達しているが、反面、目は小さく、視覚は比較的貧弱である。
主な食物は昆虫類を中心とする無脊椎動物だが、ある程度雑食化しているものも多く、その食物には、小型脊椎動物やさまざまな植物質の栄養源が含まれる。モグラ目の原名「食虫目」は、ラテン語の Insectivora を直訳したものである。
有胎盤類(真獣類)の共通の祖先は、現生のモグラ目の動物たちと同様の、食虫性・夜行性で小型の動物であったと考えられ、モグラ目は、現生の有胎盤類の動物の中では最も原始的なグループとされる。

分布

モグラ目の動物は、南米の大部分とオーストラリアニューギニア島南極を除く世界各地に、広く分布している。ソレノドン類は西インド諸島にのみ、テンレック類は西・中部アフリカマダガスカル・コモロ諸島等の島嶼(とうしょ)部にのみ、また、キンモグラ類は中・南部アフリカにのみ生息している。南米ではただ1属、コミミトガリネズミ類が、コロンビアベネズエラエクアドルに分布しているに過ぎない。

研究

モグラ目は、(人間に身近な一部のモグラ類やハリネズミ類、実験動物化が進められているトガリネズミ科のスンクス(ジャコウネズミ)などの数種を除き、)これまであまり熱心に研究されてこなかった。その食性と体の大きさから、目立って人間に害をなすものが少ない上に、経済的な利用価値もほとんど認められないことが大きな理由だが、その夜行性が研究を難しくしているという事情もある。
とりわけ生息域の限定された種の中には、--1930年代に絶滅したと見られる、西インド諸島のネソフォンテス類のように--生態がほとんど知られないまま絶滅することが危惧されているものも少なくない。

変遷

モグラ目(食虫目 Insectivora)という分類群は、哺乳類の目の中でも最も古いものの一つである。 1816年、ハリネズミ類、トガリネズミ類、(旧世界の)モグラ類のグループとして、はじめて食虫目の名が記載された。
翌1817年、博物学者キュビエは、このグループに、アメリカ産のモグラ類、テンレック類、キンモグラ類、デスマン類を加えたが、以後モグラ目は、系統の不明瞭な虫食性の動物群をとりあえず放り込んでおく「がらくた箱」であり続けた。
モグラ目は「無盲腸類」とも呼ばれるが、これはこのグループの現存する動物が、いずれも盲腸を欠いていることに由来する。 同時に、ツパイ類・ハネジネズミ類・ヒヨケザル類が、まだモグラ目に含められていた時代の名残りでもある。 1866年に、分類学者ヘッケルは、同じ「食虫目」でも、これら盲腸と大きな眼、長い四肢をもつ動物たちと、盲腸をもたず眼が未発達で四肢の短い(現在のモグラ目の)動物たち、すなわちモグラ類・キンモグラ類・テンレック類・トガリネズミ類などとの間には大きな違いがあることに気づき、前者を「有盲腸類 Menotyphla 」、後者を「無盲腸類 Lipotyphla 」として区別した。 しかし、「有盲腸類」の動物たちは、その後それぞれ1目を立てて独立させられたので、「無盲腸類」は事実上、「食虫目(モグラ目)」の別名となった。
この「有盲腸類」の動物たちとちょうど同じように、現生のモグラ目より原始的な8科の化石グループが、便宜的にモグラ目として分類された時期があった。 これらの化石グループは「原真獣類」と呼ばれ、現生のモグラ目のグループである「無盲腸類」と区別された。 しかしその後の研究で、それぞれの系統の違いが明らかになった結果、それらのグループは、現在では(統一的な見解は今なお成立していないものの)モグラ目とは別に、いくつかの目を独自に立てて分類されることが多い。
このような紆余曲折を経て、「無盲腸類」は再び「モグラ目」の別名となっている。

新しい分類

• ソレノドン科(現生:1属2種) • ソレノドン

• トガリネズミ科(現生:22属246種) • トガリネズミ • カワネズミ • ジネズミ

• テンレック科(現生:11属32種) • テンレック • ポタモガーレ

• ハリネズミ科(現生:9属19種) • ハリネズミ • ジムヌラ

• モグラ科(現生:12属29種) • アズマモグラ • コウベモグラ • ヒミズ • ヒメヒミズ • ロシアデスマン • ホシバナモグラ

• キンモグラ科(現生:7属18種) • キンモグラ


現生のモグラ目は、広い分布域をもち、一般にもよく知られている、3つのグループ、トガリネズミ類・ハリネズミ類・モグラ類に、分布域の限られたソレノドン類・テンレック類・キンモグラ類を加えた、合計6グループからなる(テンレック類からポタモガーレ類を分けて1科を立てる研究者もいるが、一般的ではない)。

モグラ目は従来、以下の3亜目に(あるいは、キンモグラ類をキンモグラ型亜目として独立させた4亜目に)分類されてきた。

• テンレック型亜目 Tenrecomorpha • テンレック科・キンモグラ科 • ハリネズミ型亜目 Erinaceomorpha • ハリネズミ科 • トガリネズミ型亜目 Soricomorpha • トガリネズミ科・モグラ科・ソレノドン科

しかし、1980年代以降の化石研究などから、この分類法を改めようとする気運が起こり、1997年には、トガリネズミ型亜目(ソレノドン科・トガリネズミ科・テンレック科)、ハリネズミ型亜目(ハリネズミ科・モグラ科)、キンモグラ型亜目(キンモグラ科)の3亜目とする分類法が提案されている(McKennna, M.C. and S.K.Bell)。

一方で、ゲノム配列解析による新しい知見から、2001年に提唱された新たな分類法(Murphy, W.J. et al)は、これとは大きく異なる、まったく新しいものだった。
すなわち、かつてテンレック型亜目としてまとめられていた2つのアフリカ産のグループ、テンレック科とキンモグラ科が、モグラ目の他のグループとはまったく系統を異にする「アフリカトガリネズミ目 (テンレック型目 Tenrecomorpha)」として、目のレベルで独立させられたのである。

注:ハリネズミと混同されやすいが、ハリモグラカモノハシ目(単孔目)、ヤマアラシはネズミ目(齧歯目)である。




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