宇宙背景放射
宇宙背景放射(うちゅうはいけいほうしゃ)は、多少の揺らぎはありながらも、宇宙空間全域からほぼ均等に観測される、様々な周波数の背景放射。最も、代表的なものは、「宇宙マイクロ波背景放射」で、その他、「宇宙X線背景放射」や、「宇宙赤外線背景放射」などが知られている。
宇宙マイクロ波背景放射
高温高密度の初期宇宙が急速に膨張して冷えた黒体放射。または、「黒体」という、宇宙に存在するとする、仮想上の物体から温度に応じて放射されるスペクトル。ビッグバンと共に宇宙が膨張し、宇宙の晴れ上がり以降、物質と平衡状態にあった黒体放射のバランスが変化した。黒体放射は、膨張に伴う赤方偏移により、波長が伸び、現在の放射強度のピークは、電波(特にマイクロ波)の領域にある、とされている。つまり、宇宙が高温・高密度であったころの痕跡であると考えられている。
また、宇宙の温度が冷えてゆき、物質との相互作用が重要でなくなった時点で、光の波長分布の変化はなくなる。その後は、温度は、波長分布を決定する、指標やパラメーターにしか過ぎなくなる。言い方を変えるなら、光の波長分布は、温度に依存される。
1965年、アメリカのベル電話研究所(現ベル研究所)のアーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンがアンテナの雑音(ノイズ)要因を取り除く過程であらゆる方向からやってくる、宇宙空間の温度で絶対温度33度(その後の正確な観測で、絶対温度2.735度)に相当する雑音電波をとらえ、これが後に、ジョージ・ガモフのビッグバン宇宙論を裏付ける強力な根拠となった。
ペンジアスとウィルソンは、この発見の功績により1978年、ノーベル物理学賞を受賞している。
なお、1998年に開始された国際プロジェクト「BOOMERanG」(ブーメランGプロジェクト;ミリ波銀河系外起源放射および地球物理学の気球観測)、つまり、南極の大気圏上層部での気球による観測、次いで、その直後に行われた、カリフォルニア大学バークレー校のチームによる、MAXIMA(ミリ波電波望遠鏡)による観測で得られた結果が、共に、2000年に発表された。異なった双方の観測結果から得られた、各々の宇宙マイクロ波背景放射の詳細分布から、この宇宙は、「平坦な宇宙」(「宇宙の膨張速度と宇宙内全体の物質が均衡していて、将来的には、速度を減じながらも永遠に膨張を続けるが、一定の大きさ以上には膨張せず、収縮に転じることはない。よって、ビッグクランチはない。」とされる、一つの宇宙モデル。他は、「閉じた宇宙」と「開いた宇宙」。)と仮定した場合の、予想分布に最も一致するという、共通の結果がでた。
宇宙赤外線背景放射
ビッグバン以降に、恒星によって加熱された、ダークマターなどのような星間物質から放射される、近赤外線と考えられている。また、恒星をはじめ、多くの物質から放射される、他の赤外線のノイズも多く、観測の障害ともなっている。1989年に打ち上げられた、COBE(宇宙背景放射探査衛星)の観測結果により、前項で述べた宇宙背景放射の温度に、10万分の3度程度(観測方法により、1万分の2度、100万分の数度。)の揺らぎが,1992年にデータとして発表され、背景放射が均一ではないことが証明された。
宇宙X線背景放射
実際には、1960年代初頭には知られていた。銀河系外にあるとされている、クエーサーなどの中心にある、巨大なブラックホールから、10万光年以上に及ぶ電子による高速ジェットに、様々な宇宙背景放射の光子がぶつかると、その光子のエネルギーが増幅され、X線(エックス線)の波長になると考えられ、それがこの背景放射の大きな部分を占めるとされている。