実数
有理数を要素とする無限数列がある値に収束する場合の収束値を実数(じっすう)という。簡単に言えば、数直線上の点と一つずつ対応がつくような数のことである。実数の全体の成す集合は有理数のそれと同じように体であり、また全順序集合である。さらに実数体は次の性質を持つ。実際、実数と有理数を分けるような性質は全てここにその源がある。 実数体の、任意の上に有界な部分集合は上限(最小上界)を持つ (カール・ワイエルシュトラスの公理) (説明すると、数直線上に点をたくさんばらまいたとき、"ここ"より大きなところには点がないという"ここ"があれば、"ここ"の性質を持つ数を集めてできる集合(つまり上界)には小さい方に端が付いている、つまり最小元があるということである。
その場合でも、もとの点の集合には大きい方に端がないこともありうる;例えば開区間 (0,1) はそういう例である。この場合、上限は 1 である。同じことを整数で行うと、整数ならば、点の集合にも上界の集合にも両方に端が付いていることが分かる。有理数の場合、どちらにも端が付いていないことがありうる;例えば、2 の平方根より小さな有理数全体を点の集合と考えると、その上界は 2 の平方根以上の有理数の集合になるが、2 の平方根は有理数ではなく、またいくらでも 2 の平方根に近い有理数が存在するから、上界の集合には最小元がない。下記の「デーデキントの切断」を参照)
これから次の命題が導かれる(しかし自明ではない) 実数列がコーシー列(基本列)ならば収束する (これも直観的に言い換えると、コーシー列というのは、どんどん遠くの値に限定すれば、どの二つの値をとってきても差をいくらでも小さくなるようにできる、ということである。) この命題の性質を「実数は完備である」と表現する。 この言葉を使えば、実数とは(順序を保ちつつ)有理数を完備化して得られる集合ということになる。
実数の作り方
スタブです カントール流 有理数のコーシー列に、同値関係を入れて、各同値類を一つの実数と同一視する。そこから演算を導入することができることを示す。 デーデキントの切断(1872年)
その他
有理数の完備化の仕方は一通りではなく、別の方法で完備化されたものにp進数がある。実数が上のような公理を満たすかどうかということは、ある人々にとっては疑わしいものであった。そのような人々は上の公理の代わりに、もっと具体的なものを公理としておき、微分積分学を再構成した。そのような数学上の態度は数学的直観主義といわれる。直観主義においては証明できない命題が出てきてしまうので、多くの数学者は(そしてすべての数学学習者は)、多少"あやしい"ところがあっても、より強い公理を用いて数学を組み立てる立場をとっている。
参考
有理数 無理数 複素数 イプシロン-デルタ論法 超実数