元素
元素(げんそ)とは、物質を構成する基礎的な成分(要素)である。
元素と原子の違い
元素は原子の種類を表す。それに対し、原子はその実体である。例えば、水素分子を構成する水素原子は1種類ではなく、質量数の違いにより数種類(軽水素原子、重水素原子、三重水素原子)存在する。これら同じ原子番号の同位体は水素元素に分類され、単に水素と呼ばれる。
表記
元素を表すには元素記号が使われる。これは原子を表すためにも使われる。例えば、水を構成する元素は酸素Oと水素Hである。
歴史
古代ギリシア
タレースは元素は水であると考えた。その他、空気であると考えた人、火であると考えた人、土だと考えた人もいた。エムペドクレスは四元素説を唱え、水・空気・火・土が元素であると考えた。プラトンはこれを継承して土が直方体でもっとも重く、他の元素は三角形からなる正多面体で火が最も軽い元素であり、四つはそれぞれの重さに応じて運動し互いに入り混じると考えた。なおプラトンの作かどうか疑問視されるある著作では、四元素に加えて、天の上層にある元素アイテールが導入されている。紀元前350年ごろ、アリストテレスはこれら四元素説を継承した上で、四つの元素は相互に変換できるものと考え、また天上にのみ存在するアイテールを四元素の上位元素として立てた。アイテールはのちの自然学における第五元素 (quinta essentia) また宇宙界を満たす媒質エーテルの構想へとつながっていく。
古代インド
古代インドの哲学者(思想家アジタ・ケーサカムバリン(パーリ語読みの人名;仏典の中に仏教より劣る思想家・哲学者として紹介されているものとしてしか名前が残ってないので正確な言い方・発音は不明)は「『存在』を構成するものは、地・水・火・風の四元素(四大;しだい)であり、この四元素以外にはない」という唯物論を主張した。また、パクダ・カッチャーヤナは「人間のからだは地・水・火・風・苦・楽・霊魂の7つの要素から構成されている」、マッカリ・ゴーサーラは「生きているものは、地・水・火・風・苦・楽・霊魂・虚空・得・失・生・死の12の要素から構成される」と主張した。
古代中国
世の中は「陰」と「陽」(つまり「闇」と「光」)から成り立っていて(陰陽思想)、更に「木」「火」「土」「金」「水」の5要素(五行)に分かれていると考えた(陰陽五行説)。インド哲学の諸論争や古代中国の陰陽五行説をみてわかる通り「物質を構成する基本的な成分がある」、という考え方は「『世界』というものに対する人間の一つの哲学的・思想的・宗教的態度」でもある(西洋科学の実験の積み重ねを否定するものではない;ようするに実験の積み重ねが不十分な時点での西洋科学の「元素」説は「事実」より「哲学」や「思想」、「世界論・宇宙論・世界観」に近いと言う事)。
近世
1662年、ロバート・ボイルは実験によってそれ以上分割できない物質が元素であると定義した。硫黄・水銀・銅・銀などが元素と考えられた。 1774年、アントワーヌ・ラヴォアジエがペリカンと称するガラス容器中に封じた水を101日間加熱し続けて、水は土になり得ないことを証明した。これにより、アリストテレス以来の元素変換の考えが打ち破られた。 1789年、ラヴォアジエが当時知られていた33種の単体を分類して元素とし、具体的な元素概念を確立した。約30種類の元素が知られるようになった。 1813年、ヨン・ヤコブ・ベルセーリウスが元素記号を考案した。 1869年、ドミトリ・メンデレーエフにより周期表が発表された。 1875年、メンデレーエフがGa、Ge、Scの存在とその性質を予言。
元素発見の推移
1766年 - 水素の発見(ヘンリー・キャベンディッシュ) 1772年 - 酸素(カール・ウィルヘルム・シューレ) 1774年 - 塩素、バリウム、マンガン(シューレ) 1778年 - モリブデン(シューレ) 1781年 - タングステン(シューレ) 1817年 - セレン(ヨン・ヤコブ・ベルセーリウス) 1824年 - ジルコニウム(ベルセーリウス) 1828年 - タンタル(ベルセーリウス) 1860年 - セシウム(ロバート・ブンゼン) 1861年 - ルビジウム(ブンゼン) 1894年 - アルゴン(レイリー卿とウィリアム・ラムゼー) 1898年 - ネオン、クリプトン、キセノン(ラムゼーとモーリス・トラヴァース 1898年 - ラジウム、ポロニウム(マリー・キュリーとピエール・キュリー)
現在
約118種類の元素が知られている。元素一覧、周期表を参照のこと。
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