公理的集合論
公理的集合論とは、公理化された集合論のことである。素朴集合論と呼ばれる公理化されていない集合論に比べてはっきりとした基盤を持ち、そのためにより深い議論が展開することができ、現在では集合論の本流となっている。
=集合の公理系= 現在一般的に使われている集合の公理系は以下の ZFC である。
ZF (ツェルメロ=フレンケル)の公理系
外延性の公理 : 二つの集合が等しいというのとそれぞれの集合に含まれる元が全て等しいというのは同値である。 空集合の公理 : どのような集合も自分の元としない集合が存在する。 対の公理 : x, y が集合であるとき、xとyのみを元とする集合が存在する。 合併の公理 : A を集合とすると、A の全ての元の合併 B、つまり全ての A の元の元からなるような集合が存在する。 無限集合の公理 : 空集合を元とし、またある元 x を含むなら、x ∪ x も含むような集合が存在する。 ベキ集合の公理 : どんな集合 X に対しても X の部分集合全てからなるような集合が存在する。 置換公理 : 関数の、集合による値域は集合である;ここでの関数とは「どんな a に対しても [ψ (a, y) かつ ψ (a, z) ならば y = z]」となる論理式 ψ (x, y) により定義されるものである。従って厳密な意味で関数ではない。 正則性の公理 : X が空集合でなければ、ある X の元 Y があって、X ∩ Y = φ(交わらない)である。
ZFC
上記のZFに 選択公理 : X をそのどの元も互いに交わらないような空集合でない集合とするとき、X の各元から一つずつとってきたような集合が存在する。 を加えた公理系を ZFC という。選択公理を仮定しない体系も盛んに研究されている。
分出公理
置換公理はフレンケルによって次の分出公理の代わりにおかれたものである(1922年)。正則性公理はジョン・フォン・ノイマンによって(1925年)導入された。 分出公理 : 任意の集合 A とある集合に関する性質 P(X) に対して A の元で、P(x) を満たすような x 全体は集合をなす。
= パラドックスの回避 = ツェルメロがZFの元となる公理系を1908年に発表した最大の動機は、 実数が整列可能だとする彼の証明を弁護することであった。しかし、同時 に彼はその当時すでに知られていたパラドックスを回避しなければいけな いこともわかっていた。代表的なものとしては、 ラッセルのパラドックス、 リシャールのパラドックス、 ブラリフォルティのパラドックスがある。 これらのパラドックスは、集合を構成する方法に 制限を付けているZFCの中では展開できない。 例えば、ラッセルのパラドックスで用いられる という集まりはZFCの中では構成できないし、 リシャールのパラドックスで用いられる構成は論理式で記述できない。