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大統領制

大統領制(だいとうりょうせい)とは、大統領が、行政府の長として統治の実権を握る体制のことである。大統領の権限行使が儀礼や調停にとどまり、行政府の長としての実権が首相にある場合には、大統領制とは呼ばない。とりわけ議会から独立した権力を持っていることが重要で、大統領の選出母体が議会そのものである場合には、大統領制にならない。

大統領制は、アメリカ合衆国憲法ではじめて具現化された。続いて独立したラテンアメリカ諸国がこの要素を取り入れ、第二次世界大戦後には世界中で大統領制を採用する国が増えた。

憲法学や政治学の用語としての大統領制は厳格な権力分立を前提とするが、大統領による独裁も分類の際には大統領制とされる。

大統領制と権力分立

大統領制は権力分立をもっとも良く体現した制度である。立法府への行政府の従属を原則とする議院内閣制に対し、大統領制では立法府と行政府が独立して牽制しあう。大統領に対する不信任決議や、議会に対する解散権は認められないので、大統領も議員もいったん就任すれば本人に事故がないかぎり任期を中断されることがない。しかし大統領と議会は孤立して分かれるのではなく、相手の行動に影響を及ぼすべく交渉し、場合によっては拒否権を行使する。

議会が大統領に対して用いる牽制・抑制手段には、予算承認権、条約批准権の他、高官人事の承認権、大統領に対する弾劾・罷免などがある。大統領が用いる対抗手段には、政府法案の提出あるいは勧告権、大統領令などの行政立法権、法案の拒否権や遅延権、非常事態宣言や戒厳令などの非常権限などがある。有無と細部は各国で異なる。

大統領制と独裁

大統領が握る権限が強大でも、権力分立が生きているかぎり、大統領制は独裁ではない。しかし大統領制では権力間の対立に立憲的に決着をつける方法がないので、大統領と議会の対立が深刻になると、国政が麻痺状態に陥ったまま抜け出せなくなる危険がある。こうした事態が発生すると、危機収拾のために憲法を無視しなければならないという主張が生まれ、非常事態のための規定が濫用されたり、大統領による独裁や反政府派によるクーデターを招くことになる。

歴史的には、アメリカ合衆国にならって大統領制を導入した諸国のほとんどすべてが民主主義体制としての長期安定に失敗し、中断を経験した。議院内閣制の諸国と比べると、歩留まりが悪い。

アメリカ合衆国だけが長期安定した原因を、同国の政党が弱く、政府への反対が案件ごとの一時的なものに留まるからだとする説がある。二十世紀末の政党の衰退により、他の諸国もアメリカ合衆国と似た条件を持つようになったが、同じ理由で議会にまったく基盤がない大統領が選ばれる可能性も増している。

首相による大統領制

首相公選制は、議会に依存しない首相をおくことで、首相の権限を強化するものである。これは実質的に大統領制か半大統領制とみなしうる。



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