子音
子音(しいん)とはことばを発音するときの、要素(音素)のひとつで、舌、歯、唇などで、息の通りをある程度以上狭めて障害することにより発する音をいう。通常、単独では音節を構成せず、母音と共に使われることにより音節を構成する。狭めた状態から開いた状態になるときに音が大きく発生するが、言語によっては狭めて開かない子音で音節を終わる音(無開放の閉鎖音)を持っているものもある(韓国語、タイ語、インドネシア語、マレー語など)。大きく有声子音(声帯のふるえを伴う音)と無声子音(声帯のふるえを伴わない音)に分けられる。
息を鼻からも出す音を、鼻音という。これに対して他の音は「口音(こうおん)」という。
また、母音を短く発声したことによって子音のように使われる音もあり、これを半母音という。
子音の分類
- 子音は各言語間で微妙な違いがあり、また言語内にも広がりや揺れがあって、これを網羅して記述するのはあまりにも複雑すぎるので、単純に整理して記述することを試みました。音標文字は英語音を基にして当てはめました。内容・用語についても、間違い・不足・不適当なものがあると思うので、気付いた方は、修正・追加をお願いします。
- <唇歯音は共通日本語にはない。硬口蓋化舌歯音は共通日本語では「ニ」を含む「ニャ」行音のみである。そり舌音は一部の日本語での「ラ」行音のみであるが、これを「R」のほかに、有声破裂音の「Dr」で発音することもある――そり舌音は中国語に多く見られる。>
破裂音
無声破裂音 ( P; T; Ty; Tr; K; !h ) この音を単独で出す場合は、唇、歯、舌などで口呼吸を完全に止めた後、それを開くと同時に声を伴わずに息を瞬間的に勢いよく出す。この音の後に母音などの声帯音が続く場合は、英語母語話者では閉鎖を開いた後、通常0.06秒経ってから声帯振動が始まり、スペイン語および日本語母語話者では開放前0.03秒程度で声帯振動が始まる。これ以前に声帯振動が始まる場合は、それぞれの話者は有声破裂音との区別ができないか、または有声破裂音と認識する。東北日本の方言では、語頭以外での無声破裂音の声帯振動開始時間が、共通語に比較して早いため、しばしば、共通語話者には有声破裂音のように聞こえる。多くの中国語方言(北京語)には無声破裂音と有声破裂音の区別がないので(気音の有無で弁別)、中国語(北京語)などの母語話者には無声破裂音と有声破裂音を識別することはできないか、または非常に困難である。 「p、t、k」:日本語のパ行、「タ」「テ」「ト」、カ行の子音。 「Ty」[c]:ハンガリー語に現れる。hattyú「白鳥」の「ty」の音。 「?」[ʔ]:閉じた声門を開きながら息を発する。 有声破裂音 ( B; Bv; D; Dy; Dr; G) 唇、歯、舌などを使って口呼吸を完全に止めた後、それを開くと同時に瞬間的な勢いある息を伴って出す声。英語母語話者の場合は、通常、閉鎖開放後0.00秒程度で(すなわち開放と同時に)声帯振動が始まり、スペイン語および日本語母語話者の場合は、開放前0.12秒程度で声帯振動が始まる。これより遅く声帯振動が始まる場合は、それぞれの話者は無声破裂音との区別がつかないか、または無声破裂音と認識する。東北日本の方言では、語頭以外での有声破裂音の声帯振動開始時間が、共通語に比較して早いため、しばしば、共通語話者には有声破裂音の前にごく短い鼻音「ン」がついている(前鼻音閉鎖口音)ように聞こえる。 「b、d、g」:日本語の語頭のバ行、「ダ」「デ」「ド」、ガ行はこの音で発音されることが多い。有声摩擦音の「Bh、Dh」、鼻音の「Ng」参照。
破擦音
( Pf ; Ts Dz; T∫ Dzh) 「Pf」:ドイツ語のPfeife、Kopfの「pf」の音。 「ts、ʧ」 : 上下の歯を閉じ、舌先を上歯茎に密着して息を完全に止めてから発音するツァ行、「チ」を含むチャ行の音。 「dz、dZ」[dz, dʒ]:上記の有声音。日本語のヅァ行、ヂャ行の子音――「ヅァ」「ヂャ」は通常「ザ」「ジャ」と表記されるが、ここでは同じ破裂音の「ツァ」「チャ」を有声化した音であるので、摩擦音と区別するため、あえて「ヅァ」「ヂャ」の表記にした。英語のfriendsの「ds」、bridgeの「dge」の音。日本語では語頭のザ行音、ジャ行音は、一般にこれらの音で発音されることが多い。有声摩擦音の「z、Z」参照。
摩擦音
無声摩擦音 ( Ph; ; F; Th; S; Sh; Thr; Khy; Kh; H ) 唇、歯、舌などで口からの息を狭めたところを通過して、声を伴わずに出す息の音。 「Ph、s、S[ɕ]、h」:日本語のファ行[φ~hw]、「シ」を除くサ行、「シ」を含むシャ行(英語より舌が前進;普通話ピンインのx)、「ハ」「ヘ」「ホ」の子音。 「F」:英語のfather、fillの「f」の音。 「Fy」:英語のfuse、feelの「f」の音。[fj] 「T」:英語のthank、thingの「th」の音。[θ] 「C」:ドイツ語のnicht、Mätchenの「ch」の音、日本語の「ヒ」を含むヒャ行の子音。[ç] 「x」:ドイツ語のBuch、Tochterの「ch」の音。 有声摩擦音 ( Bh; Bhy; V; Vy; Dh; Dhy; z; Z; Rh; Gh;Rgh; - ) 唇、歯、舌などで口呼吸の通り道を軽く閉じ(つまり接近させ)、その閉じた隙間を通過して出す声。破裂音の音は持続できないが、摩擦音は持続できる音である。日本語の一部の音素では有声摩擦音と有声破擦音の区別がないので、日本語母語話者にはこの二つは酷似して聞こえ、識別しにくい。 「Bh」[ʙ]: スペイン語のlabo,favorの「b,v」の音。 「v」:英語のvacation、visitの「v」の音。 「Dh」[ð]:英語のthat、thisの「th」の音。 「z」:上下の歯を閉じ、舌先を歯裏にも硬口蓋にも付けずに発音する「ジ」を除くザ行英語のzooの「z」、日本語の語頭以外のザ行、ジャ行はこれらの音で発音されることが多い。 「Z」[ʒ]:同上の「ジ」を含むジャ行の子音。preasureの「s」の音。フランス語の「j」の音。ジャ行の音を単独で発音すると有声破擦音の「Dz、Dj」になる。有声破擦音の「Dz、Dj」参照。 「R」[ʁ]:rの項を参照。
鼻音
(広義では流音に含める) ( M; N; Gn; Ng; Ngy ) 口腔内の器官を閉鎖し、軟口蓋を下げ、気道から鼻腔を開ける。普通有声である。この音で終わる場合は、唇、舌などで完全に閉鎖し、鼻から声を出す。この音の後に母音などが続く場合は、唇、舌などで口呼吸を完全に止めて、鼻から声を出したまま唇や舌をゆっくり離し、口から勢いよく息が出ないようにして声を出す。「鼻腔共鳴」を伴う。これは、一種の楽音としての性質を持つ。 「m」:日本語のマ行の音。 「n」:「二」を除くナ行の音。 「gn」[ ɲ]:「ニ」を含むニャ行の子音。フランス語、イタリア語の「gn」、スペイン語の「ñ」の音。 「ŋ、ŋʲ」:日本語の語頭以外の「ギ」を除くガ行、「ギ」を含むギャ行(上記「gn」に限りなく近づく)はこの音で発音される(鼻音化)ことが多いが、近年、若年層を中心に語頭以外でも鼻音化せず、有声破裂音の「G、Gy」または有声摩擦音の「Gh、Ghy」で発音されることが多くなった。――ガ行の音を単独で発音すると有声破裂音の「G」になる。有声破裂音の「G」参照。 「N」[ɴ] : 口蓋垂鼻音。「後舌母音+<ん>」や、「ん」単独、返答の「うん」の省音化したものがこれである。(「音素」表記法で、1.'すべての「ん」'、2.'母音と/w/,/y/の前、文末の「ん」'を表す記号に用いる。)<アメリカ英語は普通「鼻にかかった」発音をするが、「元々やや鼻音化」しているのだろうか> 鼻音( nw; -;-;-; n; -; -; -; nr; -; ng; -; - ) 口と鼻の両方から同時に出す声。これに含まれる音は鼻母音と一致または類似した音である。 「nw、n、nl、ng」:「緩和」、「原野」、「関連」、「勘案」発音時の「ン」とその周辺の音。「関連」は「ン」に続く「レ」音の子音が「l」になる場合が多い。
流音
(R音) ( Bb;Rr; -; Rgh; -; - ) 「Bb、Rr」:唇、舌を振動持続させる。 「r」:硬口蓋に密着した舌の左右から息・声が出ない状態から舌を離しながら発声する「ラ」行音の子音。「ダ」に近い「ラ」音。日本語では、語頭のラ行音は、これらの音で発音されることが多い。半子音(流音)の「R」参照。 「rr」:巻き舌音。スペイン語の「rr」と語頭の「r」の音。 「R」[ʁ]:口蓋垂音。フランス語の
側音
(L 系) (L; Ly ) 「l」:舌を上位器官に押し付け、その両側から呼気を出す。 「L」[ʎ]:イタリア語のfiglioの「gli」,スペイン語のpaella(「Pa-E-Lya」:日本語訳=パエリア)の「ll」の音――スペイン語の「ll」は有声摩擦音の「z\\」、「J」または有声破裂音の「Dj」に発音されることもある。("ll"参照) 「l」と「r」:日本語では基本的にLとRの区別はない。また、ラ行音を発音する時、舌先を強く上顎前方に瞬間的に触れてはじくので、「l」との違いがわかりにくい。そのためか、日本語母語話者の多くは「l」と「r」の識別ができない。
半母音
( W;j; y; r) 「w」:「わ」の子音。(W参照) 「j」:日本語のヤ行子音。 「H」[ɥ]:フランス語の「u」(+母音)。 「硬口蓋化」:もしくは単に「口蓋化」は「副次調音」を参照。
日本語の子音
五十音では、似た子音を持つ仮名が、ひとつの行を構成する。また、濁点は原則として仮名の無声子音を有声化する記号である。(この例外は、はを参照)
日本語の子音(ヘボン式ローマ字の書き方による) 無声子音 k s sh t ch ts h p 有声子音 濁点を使わない 鼻音 n m (ヘボン式ローマ字では区別されないが、厳密にはさらに [ɲ], [ŋ] の音価も存在する) 半母音 y w 鼻音、半母音以外 r 濁点を使う g z j d b
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