受胎告知
受胎告知(じゅたいこくち)はキリスト教の聖典である新約聖書に書かれているエピソードの1つ。「聖告」、「お告げ」とも言う。一般に、処女マリアに天使(ガブリエル)が降り、聖霊によってキリストを身ごもったことを告げる出来事。マリア崇敬の思想を背景として、キリスト教文化圏の芸術作品の中で繰り返し用いられるモチーフでもある。
英語の Annunciation やそれと同等の西欧語は、キリスト教の文脈に限っても、告知一般を指し、必ずしも「受胎告知」だけを示すわけではない(例えば、マリアの死の告知など)。その意味においては、「聖告」や「お告げ」の方が Annunciation の翻訳語としては適切だろう。
福音書における記述
受胎告知が記述されているのは、「マタイによる福音書」と「ルカによる福音書」だが、それぞれ詳細が異なる。マタイ伝では(1:18-25)、ナザレではない地で(2:22-23、恐らくベツレヘム)ヨセフの夢に天使が現れる。マリアに関しては、天使による告知の記述はなく、聖霊による受胎をすでに知っていたことのみ書かれている。一方ルカ伝(1:26-38)では、ナザレにて、天使ガブリエルがマリアの前に現れ、受胎を告げる。ヨセフの方に対する言及はない。ちなみに"Let it be"とは、このお告げが下った時のマリアの受諾に由来する。"let it be to me according to your word."(RSV; Luke. 1:38)
美術
美術では、マリアは読書の最中であることが多い。傍らには白百合(純潔の象徴)が必ず置かれるが、天使が持っている場合もある。二人の上には天上からの光や聖霊の鳩が描かれる。
中世の作品としては、ランス大聖堂の彫像や、シモーネ・マルティーニの祭壇画が名高い。ルネサンスでは、天上と地上の邂逅という如何にもルネサンス的な性格が好まれ、もっとも人気のある主題の一つとなった。サン・マルコ修道院にフラ・アンジェリコが描いた壁画、レオナルド・ダ・ヴィンチによる絵画などが傑作として知られる。
他にも、ファン・エイク、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ボッティチェリ、ラファエロ、ティツィアーノ、エル・グレコ等、様々な画家がこの主題を採り上げている。