法哲学
実定法学が実定法(positives Recht、現に存在する法)を対象とするのに対し、法哲学(ほうてつがく)は、あるべき法ないし正しい法を探求しようとする。その背後には、実定法は必ずしも正しい法ではないという思想がある。つまり、法哲学という学問は、イマヌエル・カントからハンス・ケルゼンに至る法と道徳の峻別によって、法学が失ったものを取り戻そうとする営みなのである。
歴史的に見ると、法哲学はヘーゲルの『法哲学要綱』に始まる。
しかし、法に関する哲学は、すでに古代ギリシアに見られる。
その研究対象は大別して、次の三つに分けられることが多いが、相互に関連している。
第一に、法価値論である。これは法の実現すべき価値とは何かを問い、正義論とも呼ばれる規範的な議論を展開する。
第二に、法の理論。これは、法の分析を目的とする。
第三に、法解釈論。法はいかに解釈されるべきかを問う。