核兵器
核兵器(かくへいき)は、核反応による爆発を大量破壊に用いる目的で作られた兵器の総称。原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾など。
核兵器の始まり
核兵器の研究開発は第二次大戦中、各国で行われたが、アメリカ合衆国がマンハッタン計画と呼ばれる秘密プロジェクトを通じて世界初の原子爆弾の開発に成功し、広島・長崎において使用した。
冷戦時代
冷戦時代には、アメリカ合衆国とソビエト連邦の間で核兵器の大量製造、配備が行われた。核兵器の量が地球上の全人類を滅ぼすのに必要な量を遥かに上回っていたとされる。また、核による先制攻撃を通じて相手国に致命的なダメージを負わせ、戦争に勝利するという戦略を不可能にするべく、相手国の攻撃を早期に探知し、報復するためのシステムが構築された。この戦略は相互確証破壊(Mutually Assured Destruction, MAD)と呼ばれ、冷戦期の核抑止をめぐる議論で重要な役割を果たした。
核の冬
核兵器の大量使用の後には、地表は放射性物質で汚染され、また放射性物質を含む灰が降ることになる。巻き上がった灰によって日光が遮られ、地表の気温が低下し、植物が枯れ、人間が生存できない環境になることが指摘された。このような状態は核の冬と呼ばれる。この核の冬を生き延びるための手段として考案された地下施設は核シェルターと呼ばれる。
核兵器の恐怖や核戦争のリスク、放射線による殺傷の残酷さなどは知識人、作家、政治家、政治活動家、一般市民など多くの人々の関心を呼んだ。そのため反核運動が産まれた。
また核による人類の終末や文明の没落、没落後の荒廃した世界などは、未来を舞台とするさまざまな作品でとりあげられた。
冷戦の終結と核の拡散
崩壊寸前の旧ソ連とアメリカ合衆国は、1991年7月からの第一次~第三次戦略兵器削減条約(START1。現在は3)による核兵器の削減が進んでいた。ソ連が崩壊した後も、現在のロシアが戦略兵器削減条約を引き継ぐ形で進行していたが、しかしながら2001年に就任したジョージ・W・ブッシュ大統領は「抑止としての核兵器」より「使える核兵器」を重視する考え方のもと、核削減の潮流に逆行している。また、ロシア もSTART2 に調印こそしたものの、一時的なアメリカとの対立などから批准が遅れている。
ソ連の崩壊後は、経済情勢の悪化や汚職の蔓延に伴う管理体制の不備から、ロシアから第三国への兵器の流出、あるいは技術者の流出が増加しているとされる。かつての核大国以外での核兵器の使用、誤使用などのリスクは、冷戦時代とは違った意味で増大している。
近年ではカシミール地方をめぐるインド・パキスタンの紛争が核兵器の使用につながる可能性があると指摘され、懸念を呼んだ。
また北朝鮮は体制維持を目的に、近隣他国に対する交渉手段として、核兵器の開発を継続していると言われる。これについては各国から批判があるが、未解決のままである。
日本の非核戦略
日本政府の核に関する基本政策は、原子力の平和利用であり、非核三原則である。
日本は、世界で唯一ヒロシマ・ナガサキに原爆が投下された被爆国としての歴史から、現在でも自国の核保有に対しては否定的意見が圧倒的多数を占める。
日本は、アメリカ・中国・ロシア(旧ソ連)の核保有軍事大国の中間地点にあり、また周囲に朝鮮半島軍事境界線、台湾海峡など国際的軍事対立地点がある。現在の日本の基本戦略は東アジアの安定化による平和、それに基づく自国の経済発展と他国の発展援助である。
アジア諸国から「日本の核保有は東アジアの不安定化(日本の軍事大国顕在化)につながる」という危惧を持たれていることも、政府方針の裏付けの一つとなっている。
上記のような現状の政府方針、および日本国民の多数意見に対して、「北朝鮮の核政策に対抗して日本も核保有すべき」と主張する強硬な在野勢力も、少数ながら国内に存在する。しかし、保守政治家・革新政治家ともに核保有論への同調を表明する者はほとんど存在しないのが実情で、当面この状況に変化はないものと予想される。
現在の核保有国
以下、核保有の年代順。
アメリカ合衆国 ロシア イギリス フランス 中華人民共和国 インド パキスタン
核疑惑国
イスラエル -- 核を保有しているといわれている。 北朝鮮 -- 原子炉より核兵器材料を取り出し濃縮したとされる。まだ核実験まで至っていない。 イラン -- アメリカにより名指しで核開発の疑惑。
核を保有していた国
南アフリカ -- 1989年後半までに核兵器6発を保有、その後廃棄したと発表。また、イラクは過去にウランの濃縮など核兵器の開発を進めていたが、湾岸戦争で施設の大半が破壊されたと見られている。
各国の核戦略
核兵器は現実問題として、積極的に使用することは困難な兵器であり、その存在意義は防衛的、戦略的なものが強い。アメリカ、ロシア、英仏、中国、インドは大国であり、防衛のために核に頼る必要は少なく、戦略的な意味合いが強い。即ちアメリカは世界戦略、その他の諸国は地域の安定化、自国に有利な状況を作り出すために核を保持している。一方パキスタンやイスラエル、北朝鮮のような比較的軍事的に脆弱な国は、最後の安全保障として核に頼る考えを持っている。台湾やイラクも同じ思想を持っていたが、台湾はアメリカの説得により、イラクはイスラエルの原子炉攻撃により、それぞれ開発を断念した。また北朝鮮のように、核カードを切って譲歩を導き出そうとする国家も存在する。
これらの(一応は合理的な本来の)目的のほかに、国威高揚を目的として核開発を行う場合も少なくない。究極的な軍事的自立を目指せば核が必要になり、核という先端技術そのものも宇宙開発同様、国民の自尊心称揚の手段になると考えられるからである。これは一部の強硬な核武装論者の主張でもある。
関連項目
原子核(核) 核分裂 核融合 放射能 原子力発電 ウラン プルトニウム コバルト爆弾 核ミサイル、核爆弾、核弾頭、MIRV 核拡散防止条約、包括的核実験禁止条約、第二次戦略兵器制限条約(SALTⅡ) 核実験 核武装論 軍拡競争 キューバミサイル危機 非核三原則 汚い爆弾
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