汎アラブ主義
汎アラブ主義 (Pan-Arabism)は、中東における国家を超えたアラブ民族の連帯をめざす運動。アラブ民族主義ともいう。起源は、第一次世界大戦期。 ヨーロッパによる帝国主義支配に抗して起こった、民族自決運動のひとつである。 1940年代に、シリアで汎アラブ主義のバアス党が結成される。
ナセル
第二次世界大戦後は、エジプトのナセル大統領が汎アラブ主義を積極的に推し進め、エジプト-シリア間に、アラブ連合共和国を成立させたが、連合は長続きはしなかった。
アラブ諸国で汎アラブ主義路線をとった国は他に、リビア、チュニジア、モロッコなどがある。
ナセル大統領のアラブ連合共和国の実験が失敗に終わってのちは、汎アラブ主義は反帝国主義運動時代にもっていた熱気は冷めている傾向にある。 しかし現在でも依然、汎アラブ主義的心情へ訴えかけつづけているのはパレスチナ問題であろう。
フセイン
近年、例外的に汎アラブ主義を全面にかかげ、欧米との対決姿勢を崩さなかったのは、イラクのサダム・フセイン大統領が率いるバアス党政権であった。この政権は、2003年、アメリカのブッシュ大統領によるイラク戦争に敗北し、党と政権は解体し、フセインは拘束された。 イラクの汎アラブ主義政権の中立的な歴史的評価が定まるには、何年も先のことであろう。
汎アラブ主義とイスラム原理主義
なお、マスコミでさえしばしば誤解した報道をするが、民族運動である汎アラブ主義と、宗教運動であるイスラム原理主義は対立する概念である。
イランのイスラム革命の直後に起こったイラン・イラク戦争は、この対立が具現化したものである。