一党優位政党制
一党優位政党制(いっとうゆういせいとうせい)は、競争的な選挙のもとで、一つの主要政党が投票者の多数に支持され続けることによって、政権を握り続ける政党制(政党システム)である。イタリアの政治学者サルトーリが1970年代に提唱した概念である。
類型化の要点
一党優位政党制は、従来一党制という名で一括されていたものの中から、公正な条件で競争的な選挙が実施されている政党制を抜き出したものである。一党が他党を引き離す「優位」を持っている政党制は、民主主義体制である場合も非民主主義体制である場合もあるが、一党優位政党制は民主主義体制の方を指す。
サルトーリは、一党優位政党制を、支配政党(制)の概念の曖昧さに対する批判として提出した。サルトーリは、第一党と第二党の議席占有率の差が大きいことと、第一党が三期か四期連続して政権についていることを要求した。
サルトーリはその例として、インド、日本、ウルグアイ、スウェーデンなどを挙げた。しかしこれらが一つの共通特徴を持つかについては懐疑的であった。
用語
サルトーリが「一党優位」に用いた英語は predominant で、それまで通用していた dominant より弱い語として起用した。dominant は日本語では支配・優位いずれにも訳すことができ、実際両方に訳されていたので、「一党優位」の語があてられた。
サルトーリの説は後の政党研究を強く規定したが、なお実際に適用しにくい部分が残っていた。後の研究者はサルトーリの概念を念頭に、これを修正してしばしば呼び名を違えた。支配政党制 (dominant party system)、一党支配体制(one party dominant regime)、そしてもちろん一党優位政党制 (predominant party system) が、ほぼ同じものをさす用語として使われている。
参考文献
ジョバンニ・サルトーリ『現代政党学』(普及版)、岡沢憲芙・川野秀之訳、早稲田大学出版会、2000年(原著1976年)。