機動戦士Ζガンダム
機動戦士Ζガンダム(きどうせんしゼータガンダム)はアニメ『機動戦士ガンダム』の続編のテレビアニメシリーズ。名古屋テレビをキー局としたテレビ朝日系にて1985年3月2日~1986年2月22日放送。2005年から3部作として『機動戦士Ζガンダム 星を継ぐ者』のタイトルで映画化される。
一年戦争(地球連邦とジオン公国の戦争)終結から7年後の世界が舞台。
なお「ゼータ」に当てられる文字として読みの上で正しいのはギリシャ文字の"Ζ"であるが、入力の容易さ・形状の類似からラテン文字の"Z"が代用されることが多い。
物語前史
大規模な戦争は終結したが、ジオン公国に所属していた軍事勢力の一部は降伏することなく、各地で地球連邦軍と軍事衝突を繰り返していた。やがて、地球連邦軍内部に「ジオンの残党狩り」を強く主張する排他的な派閥「ティターンズ」が形成されていく。暴走していくティターンズ。そして、ティターンズに抵抗する組織エゥーゴが結成される。
物語
物語はエゥーゴとティターンズの戦いを主軸に、地球連邦軍、さらにアクシズを名乗る元ジオン軍兵士達からなる軍事組織の動きを絡めて描かれていく。
ロボットアニメの極北
従来いわゆるロボットアニメにおいては敵/味方という区分が明確に存在する。敵の多くは異質な侵略者であり、主人公はそれに対抗する何らかの勢力の中心的存在であることが典型である。古典的な枠を打ち破ったとされる前作『機動戦士ガンダム』では、敵味方を単なる善悪に単純化せず、複雑な人間関係を表現するに至ったが、それでも味方=地球連邦、敵=ジオン公国という基本的な構図は崩れていない。
しかしΖガンダムでは静的で分かりやすい敵/味方の区別がもはや存在しない。ティターンズは、かつて善であったはずの地球連邦の一部分であり、一方主人公カミーユが所属するエゥーゴには、かつてジオン軍の兵士として戦った人間が多く所属している。(前作のライバルだったシャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)もその一員である)。
この混乱は人間関係のみならず、モビルスーツのデザインにも反映されている。ティターンズは前作の主人公機であった「ガンダム」の名を冠する黒い機体を所有し、一方前主人公アムロがジオンの意匠を持つ機体「ディジェ」を操縦するといったように、もはやロボットのデザインラインは入り乱れ、敵と味方を区別する記号としての役割を果たさない。
さらに、複雑な物語の途上では、敵から味方へ、味方から敵へと立場を変える人間、勢力内での権力闘争、第三勢力(ネオ・ジオン)の出現など、それぞれの組織のあり方そのものが流動的な変化を起こしている。付け加えるならば、味方である民間組織エゥーゴにしても、背後には兵器産業「アナハイム・エレクトロニクス社」というスポンサーの影が見え隠れする。もはやこの混乱の中では己の正しい立ち位置を定める事さえ困難となる。
Ζとは終末状況そのものを表す記号なのである。
「絶対正義の不在」というようなテーマを扱った作品は他にも存在する。前作がそうであるし、『装甲騎兵ボトムズ』などもここに挙げられるだろう。しかし「混沌そのもの」を正面から扱った作品は恐らく後にも先にもΖガンダムだけである。
この複雑さ故に、Ζには「百人見れば百通りの解釈がある」といわれている。
ただし、この複雑さが、巧まざる物か否かである。脚本やシリーズ構成の稚拙さが、単に視聴者に難解な印象を与えてるに過ぎないといった批評も多数存在する事実を付け加えて置きたい。『装甲騎兵ボトムズ』との一番の違いは、そこである。
モビルスーツ
基本的には『機動戦士ガンダム』で登場したデザインの系譜を受け継いでいる。 しかし、上でも述べたようにデザインは敵味方を区別するのに役立たない。また、作品内での7年の間の技術進歩を表す要素として「変形」という機能を持った機体が多数登場する。これは主役機であるΖガンダムにも言えることである。
ただし、このデザインの多様性は番組制作上の、複数のメカデザイナーの乱立と混乱という側面が強く、 またメカニックのコンセプトの演出上の不統一とも表裏一体である。
のちのOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のような、ミリタリー感に裏打ちされた捕獲兵器のような実存感も本作には全く感るべくもなく。前作のモビルスーツという秀越なコンセプトからは一歩も二歩も後退していると言わざるを得ない。
可変モビルスーツに至っては、本作のスポンサーであるバンダイが、当時人気を博していたライバルメーカータカラのトランスフォーマー(変形メカ玩具)に対しての対抗策としての商品展開の側面が強く、作品内での7年の間の技術進歩を表す要素というのはこじ付けの感が否めない。現実に本作の人気エピソードに登場したサイコガンダムはサンライズ側からの提案ではなく、デザインもポピー時代の超合金の商品設計で有名なバンダイの村上克司が手がけている。
実際、作劇上のモビルスーツの描写もなんら特徴のない凡庸な出来で、メカ作監の内田順久自身も当時、自らの仕事を含め演出に強い不満を表明していた。
新たな技術
変形機構 リニアシート ムーバブルフレーム