中央本線
中央本線(ちゅうおうほんせん)とは、東京駅を基点に、甲府駅、塩尻駅、中津川駅を経由して、名古屋駅まで至る鉄道路線である。岡谷駅から塩尻駅までの間は、山脈を避けて辰野駅を経由していたが、1983年に全長約6kmの塩嶺トンネルを抜けてみどり湖駅経由の短絡線が開通し、大幅なスピードアップが実現した。現在どちらの線区も中央本線に属する。辰野駅経由の路線は大八回りとも呼ばれる。
運転形態が塩尻駅を境に異なることから、 東京駅~塩尻駅 : 中央東線 塩尻駅~名古屋駅 : 中央西線 と呼ばれることもある。中央西線区間については、便宜的に名古屋行きを上りとして扱う。
路線データ
管轄・路線距離(営業キロ):全長424.6km(東京~神田間1.3km、代々木~新宿間0.7km含む。なお、以下の表示は「鉄道要覧(事業計画)」によるもので、線路名称の表示とは異なる。) 東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者) 神田~代々木 8.3km 新宿~塩尻 211.8km 岡谷~辰野~塩尻 27.7km 東海旅客鉄道(第一種鉄道事業者) 塩尻~名古屋 174.8km (金山~名古屋間 3.3kmは東海道本線と重複) 日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者) 新宿~塩尻 (211.8km) 岡谷~辰野~塩尻 (27.7km) 塩尻~名古屋 (174.8km) 軌間:1067mm 駅数: 旅客駅:112駅(JR東日本73駅、JR東海39駅。起終点駅含む、JR東海は塩尻駅除く) 複線区間: 複々線以上: 東京~神田 御茶ノ水~三鷹 複線: 神田~御茶ノ水 三鷹~普門寺信号場 岡谷~みどり湖~塩尻 塩尻~贄川 奈良井~宮ノ越 原野~倉本 十二兼~名古屋 単線: 普門寺信号場~岡谷 岡谷~辰野~塩尻 贄川~奈良井 宮ノ越~原野 倉本~十二兼 電化区間:全線(直流1500V1500V)
沿線風景
中央東線は東京から信州へ向かう路線としてビジネスや観光に利用されているが、高速道路との競争が激しく高速バスに客を取られないために格安の回数券が設定されている。この線は山の景色が素晴らしく、深田久弥の名著『日本百名山』でも車窓から見える甲斐駒ケ岳と八ヶ岳が絶賛されている。また甲斐大和付近から甲府盆地越しに見る南アルプスも壮観。甲府盆地は桃の栽培が盛んで、春には線路の両側がピンクに包まれ、文字通り「桃源郷」の雰囲気を味わえる。中央西線は木曽川の渓谷を遡る線で、渓谷美が楽しめる。名勝寝覚ノ床のすぐ上を通るポイントでは、ダイヤに余裕があれば「(ワイドビュー)しなの」も速度を落としてゆっくり見せてくれる。
運行形態
地域輸送
東京~大月間
いわゆる東京都市圏輸送区間で、御茶ノ水駅~三鷹駅間は複々線である。緩行線では、各駅停車の総武線各駅停車と千葉駅~三鷹駅(早朝夜間には武蔵小金井駅)間で相互直通運転を行なう。また、中野駅~三鷹駅間では、東京地下鉄東西線と相互直通運転を実施している。詳細は、「中央緩行線」並びに「東京地下鉄東西線・東葉高速鉄道・JR線直通区間停車駅」を参照されたい。
東京駅から高尾駅までが旧来からの「中央快速線」であったが、都市圏の拡大により大月駅までがほぼ一体化している。さらに、大月駅から富士急行大月線に乗入れ、河口湖駅まで直通運転を行なっている。
立川~塩尻間
いわゆる「中距離電車」区間である。立川駅から甲府駅を経て塩尻駅から篠ノ井線に乗り入れて松本駅まで運転。甲府駅発の一部普通電車や小淵沢駅、上諏訪駅発の電車はさらに信越本線長野駅まで運転される。
辰野支線
地元では辰野線と呼称される。岡谷駅~辰野駅間は飯田線に直通する列車のみが運転され、事実上、飯田線の一部のようになっている。ただし、管轄はJR東日本なので、辰野駅で乗務員が交替することになる。
辰野駅~塩尻駅間は、この区間のみを往復する列車のほか、松本駅まで直通する列車が数本設定されている。辰野駅~塩尻駅間を往復する列車には、荷物車を改造した123系(クモハ123-1)が使われ、「ミニエコー」の愛称で呼ばれている。
塩尻~中津川間
塩尻駅からは中津川駅までの間は、普通電車は極端に少ない。普通列車は基本的に2両編成のワンマン列車で、篠ノ井線松本駅まで乗り入れている。
中津川~名古屋間
中津川駅から名古屋駅までは、中京圏の通勤路線として快速、セントラルライナー・ホームライナーが運転される。停車駅等については、JR東海名古屋地区普通・快速列車停車駅を参照のこと。
広域輸送
中央東線
新宿駅(一部千葉駅、東京駅始発)を起点に塩尻駅から篠ノ井線に乗入れ、松本駅や、大糸線南小谷駅まで運転される特急あずさ・スーパーあずさと、途中の甲府駅やその近郊まで走るかいじが運転されている。
中央西線
名古屋駅(一部大阪駅)から篠ノ井線を経由して、信越本線長野駅まで特急(ワイドビュー)しなのが運転されている。
歴史
JR東日本管轄区間(中央東線)
1889年4月11日 甲武鉄道新宿~立川間開業 1889年8月11日 立川~八王子間延伸開業 1894年10月9日 牛込~新宿間延伸開業 1895年4月3日 飯田町~牛込間延伸開業 1904年8月21日 飯田町~中野間電化(直流600V) 1904年12月31日 御茶ノ水~飯田町間延伸開業(電化) 1901年8月1日 官設鉄道八王子~上野原間開業 1902年6月1日 上野原~鳥沢間延伸開業 1902年10月1日 鳥沢~大月間延伸開業 1903年2月1日 大月~初鹿野間延伸開業 1903年6月11日 初鹿野~甲府間延伸開業 1903年12月15日 甲府~韮崎間延伸開業 1904年12月21日 韮崎~富士見間延伸開業 1905年11月25日 富士見~岡谷間延伸開業 1906年6月11日 岡谷~塩尻間延伸開業。既開業の篠ノ井~塩尻間鉄道を編入し、八王子~篠ノ井間鉄道とする。
1906年10月1日 甲武鉄道御茶ノ水~八王子間を買収・国有化し、八王子~篠ノ井間鉄道に編入。御茶ノ水~篠ノ井間鉄道となる。 1908年4月19日 御茶ノ水~昌平橋間延伸開業(電化) 1909年10月12日 国有鉄道線路名称設定 中央東線(昌平橋~篠ノ井間) 1909年12月1日 塩尻~奈良井間延伸開業。塩尻~篠ノ井間を篠ノ井線として分離 1911年5月1日 宮ノ越~木曽福島間延伸開業(全通)。中央西線を編入し、昌平橋~名古屋間を中央本線に改称 1912年4月1日 万世橋~昌平橋間延伸開業(電化) 1919年1月25日 中野~吉祥寺間電化 1919年3月1日 東京~万世橋間延伸開業 1920年5月26日 国分寺~下河原間貨物支線開業(東京砂利鉄道の線路を譲受。1910年敷設) 1922年11月20日 吉祥寺~国分寺間電化 1929年3月10日 国分寺~国立間電化 1929年6月16日 国立~立川間電化 1930年12月20日 立川~浅川(現在の高尾)間電化 1931年4月1日 浅川~甲府間電化(電気機関車で運転) 1934年4月2日 国分寺~東京競馬場前間支線開業(電化路線。国分寺~北府中間は国分寺~下河原間貨物支線と二重戸籍) 1944年10月1日 国分寺~東京競馬場前間休止 1947年4月24日 国分寺~東京競馬場前間復活 1951年4月14日 三鷹~武蔵野競技場前間支線開業 1956年9月1日 国分寺~下川原間貨物支線の起点を北府中に変更(国分寺~東京競馬場前間支線との二重戸籍解消) 1959年11月1日 三鷹~武蔵野競技場前間廃止 1962年5月21日 上諏訪~辰野間電化 1964年8月23日 甲府~上諏訪間電化 1965年5月20日 辰野~塩尻(~松本)間電化 1973年4月1日 国分寺~東京競馬場前間廃止。北府中~下川原間貨物支線は武蔵野線に移籍(1976年9月20日廃止) 1980年9月25日 信濃境~富士見間線路付け替えにより改キロ(-0.2km) 1982年5月17日 塩尻駅移転により小野~塩尻間改キロ(+0.5km) 1983年7月5日 岡谷~みどり湖~塩尻間新線開業。経路を新線経由に改め、岡谷~辰野~塩尻間を支線として分離 1987年4月1日 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に承継。基本計画上の区間表示は、神田~代々木間、新宿~みどり湖~塩尻間(東京~神田間、代々木~新宿間の二重戸籍解消) 1998年7月2日 線路名称の区間表示を基本計画に合わせて改正
JR東海管轄区間(中央西線)
1909年12月1日 中央東線塩尻~奈良井間延伸開業。 1910年10月5日 奈良井~薮原間延伸開業 1910年11月25日 薮原~宮ノ越間延伸開業 1900年7月25日 名古屋~多治見間開業 1902年12月21日 多治見~中津(現在の中津川)間延伸開業 1908年8月1日 中津~坂下間延伸開業 1909年7月15日 坂下~三留野(現在の南木曽)間延伸開業 1909年9月1日 三留野~野尻間延伸開業 1909年10月12日 国有鉄道線路名称設定 中央西線 1909年12月1日 野尻~須原間延伸開業 1910年10月5日 須原~上松間延伸開業 1910年11月25日 上松~木曽福島間延伸開業 1911年5月1日 宮ノ越~木曽福島間延伸開業(全通)。中央西線を中央東線に編入し、中央本線に改称 1966年5月14日 瑞浪~名古屋間電化 1968年8月16日 中津川~瑞浪間電化 1973年5月27日 塩尻~中津川間電化 1982年5月17日 塩尻駅移転により塩尻~洗馬間改キロ(-0.1km) 1987年4月1日 国鉄分割民営化により塩尻~名古屋間が東海旅客鉄道に承継 1989年7月9日 東海道本線金山駅開設により金山~名古屋間が二重戸籍になる
東京の複々線区間
輸送力の増強を計る目的で関東大震災の復興計画に盛り込まれており、その一環として御茶ノ水駅~中野駅で複々線が建設され、1932(昭和7)年に完成した。また、急行電車(現在の快速電車)を運行させた。また、この計画と同時に総武本線両国駅~御茶ノ水駅間についても高架鉄道として建設され、この結果、東京駅始発のものを急行電車として運転することとなり、各駅に停車する列車は総武本線に乗り入れることとなった。第二次大戦後、中野駅以西の輸送力の増強を計る目的で昭和30年代までに三鷹駅まで建設された。その後、1966(昭和41)年に中野駅以西より営団地下鉄東西線乗り入れの列車が緩行線に運行されている。
現在、立川駅まで複々線化工事を進行中でこれが完成した場合、三鷹駅~立川駅間を運行している快速電車の停車駅にも変更を迫られると見られる。
大八回り
元々は、辰野駅経由の通称「大八回り」の方が本線だった。この部分については次のような話がある。名古屋までの路線を木曾谷を通すか伊那谷を通すかで論争となり、結局木曾谷側が勝ってこちらに線路を敷くことになった。しかし、これで納得しなかった伊那谷出身の代議士で鉄道局長の伊藤大八が、下諏訪から塩尻峠をトンネルで抜けて塩尻へ向かう案を徹回させて、伊那谷の入口である辰野を経由させるようにした。そのため、この辰野を通るための迂回部分は、伊藤大八の名前を取って「大八回り」と呼ばれることとなった。
但し、当時の技術力では長いトンネルを掘れなかったので、塩尻峠を避けるために迂回させただけであるという説もある。
駅
JR東日本管内
(大月以東は中央快速線を参照) 大月駅 - 初狩駅 - 笹子駅 - 甲斐大和駅 - 勝沼ぶどう郷駅 - 塩山駅 - 東山梨駅 - 山梨市駅 - 春日居町駅 - 石和温泉駅 - 酒折駅 - 甲府駅 - 竜王駅 - 塩崎駅 - 韮崎駅 - 新府駅 - 穴山駅 - 日野春駅 - 長坂駅 - 小淵沢駅 - 信濃境駅 - 富士見駅 - すずらんの里駅 - 青柳駅 - 茅野駅 - 普門寺信号場 - 上諏訪駅 - 下諏訪駅 - 岡谷駅 - みどり湖駅 - 塩尻駅(支線)岡谷駅 - 川岸駅 - 辰野駅 - 信濃川島駅 - 小野駅 - 塩尻駅
JR東海管内
(塩尻駅) - 洗馬駅 - 日出塩駅 - 贄川駅 - 木曽平沢駅 - 奈良井駅 - 藪原駅 - 宮ノ越駅 - 原野駅 - 木曽福島駅 - 上松駅 - 倉本駅 - 須原駅 - 大桑駅 - 野尻駅 - 十二兼駅 - 南木曽駅 - 田立駅 - 坂下駅 - 落合川駅 - 中津川駅 - 美乃坂本駅 - 恵那駅 - 武並駅 - 釜戸駅 - 瑞浪駅 - 土岐市駅 - 多治見駅 - 古虎渓駅 - 定光寺駅 - 高蔵寺駅 - 春日井駅 - 勝川駅 - 新守山駅 - 大曽根駅 - 千種駅 - 鶴舞駅 - 金山駅 - 山王信号場 - 名古屋駅
接続路線
東京駅~大月駅間は、中央快速線を参照のこと。 大月駅:富士急行大月線 甲府駅:身延線 小淵沢駅:小海線 岡谷駅:中央本線(辰野線) 辰野駅:飯田線 塩尻駅:中央本線(辰野線)・篠ノ井線 恵那駅:明知鉄道明知線 多治見駅:太多線 高蔵寺駅:愛知環状鉄道線 勝川駅:東海交通事業城北線 大曽根駅:名鉄瀬戸線、名古屋市営地下鉄名城線・4号線、名古屋ガイドウェイバスガイドウェイバス志段味線 千種駅:名古屋市営地下鉄東山線 鶴舞駅:名古屋市営地下鉄鶴舞線 金山駅:東海道本線、名鉄名古屋本線、名古屋市営地下鉄名城線・4号線 山王信号場:東海道本線貨物支線(名古屋港貨物線) 名古屋駅:東海道本線、東海道新幹線、名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線(未開業)、名古屋市営地下鉄東山線・桜通線、名鉄名古屋本線(新名古屋駅)、近鉄名古屋線(近鉄名古屋駅)
過去の接続路線
坂下駅:坂川鉄道線(新坂下駅) - 1944年12月1日廃止 中津川駅:北恵那鉄道線(中津町駅) - 1978年9月19日廃止 大井駅(現・恵那駅):矢作水電岩村電気軌道線 - 1935年1月30日廃止、北恵那鉄道大井線(新大井駅) - 1934年9月15日廃止 土岐市駅:東濃鉄道駄知線 - 1974年10月21日廃止 多治見駅:東濃鉄道笠原線(新多治見駅) - 1978年11月1日廃止
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