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涅槃寂静

仏教用語であり、三法印四法印の一つとして、仏教が他の教えと根本的に違うことを示している。煩悩(ぼんのう)の炎の吹き消された悟りの世界(涅槃)は、静やかな安らぎの境地(寂静)であるということ。

涅槃寂静という言葉は、『雑阿含経 』などには、「涅槃寂滅」((pali) nibbaana-vuupasanna、निब्बान वूपसन्न)と呼ばれたり、『大智度論 』には「涅槃実法印」などと出てくる。「涅槃寂静」と言う用語が登場するのは、『瑜伽師地論 』である。

諸行無常諸法無我の事実を自覚することが、この涅槃寂静のすがたである。無常と無我とを自覚して、それによる生活を行うことこそ、煩悩をまったく寂滅することのできた安住の境地である。
無常の真実に目覚めないもの、無我の事実をしらないで自己をつかまえているものの刹那を追い求めている生活も、無常や無我を身にしみて知りながら、それを知ることによってかえってよりどころを失って、よりどころとしての常住や自我を追い求めて苦悩している生活も、いずれも煩悩による苦の生活である。
それを克服して、いっさいの差別(しゃべつ)と対立の底に、いっさいが本来平等である事実を自覚することのできる境地、それこそ悟りであるというのが、涅槃寂静印の示すものである。

涅槃とは、それを単に灰身滅智(けしんめっち)、身心都滅(しんしんとめつ)の虚無(こむ)の世界と解釈する人々もある。
仏教本来の意味からすると、涅槃とはいっさいのとらわれ、しかも、いわれなきとらわれ(辺見)から解放された絶待自由の境地である。これは、縁起の法に生かされて生きている私たちが、互いに相依相関の関係にあることの自覚であり、積極的な利他活動として転回されなくてはならない。この意味で、この涅槃寂静は仏教が他の教えと異なるものとして法印といわれるのである。




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