三次方程式
三次方程式とは、次数が 3 であるような
代数方程式、即ち、
-
の形に帰着できる方程式のことである。
一般解の導出
以下、この方程式を一般的に解くプロセスを紹介する。方程式の両辺を
a3 ≠ 0 で割ることにより、最高次係数を 1 にすることができ、またそれによって一般性を失うことはないので、以下では常に最高次係数が 1 の物のみを扱う。
1 の原始立方根の導入
まず、一番単純な三次方程式、
-
を解く事を考える。
A0 = -1 であるとき、解は
1 の原始立方根の
冪乗に等しい。一般の
A0 に対しては、累乗根の定義から直接に、
-
を得る。ここで ω は 1 の原始立方根を表す。ω は、
二次方程式 t2 +
t - 1 = 0 の根の任意の一方である。いずれの一方の根を ω として選んでも、ω の
共役は他方の根、したがって 1 の原始立方根で あり、ちょうど ω
2 に等しい。ここでは、
-
としておく。
二次項のない場合
A2 = 0 で見かけ上二次の項がない三次方程式、即ち、
-
を解く事を考える。まず、
A0 = 0 のときには左辺は容易に因数分解できて、
x = 0 は根であり、残りの根は
x2 +
A1 = 0 を解くことで得られる。逆に
x = 0 が根であれば代入することにより
A0 = 0 でなければならないことがわかる。
よって以下 A0 ≠ 0 とし、0 ≠ x = u + v と置いて式を変形すると、
-
-
-
-
-
となる。ここで、方程式が成り立つには、最終行の左辺第一項と第二項が同時に 0 になれば良い。従って、もとの三次方程式を解くことは、方程式系
-
を解く事と同値である。今、
U :=
u3,
V :=
v3 と置けば、
-
と書ける。この
U,
V を見つけることは、
分解方程式 と呼ばれる次の方程式
-
を解くことと同値である(
根と係数の関係)。即ち、二次項がない三次方程式は、二次方程式に帰着できるのである。そして、これを解けば、
-
となり、この 2 つの解がそれぞれ
U,
V となる(順序は逆でも構わない)。
さて、u3 = U, v3 = V であったが、これを三次方程式だと単純に考えれば、
-
となるが、このままでは、解
x(=
u+
v) の個数は 9 個になってしまう。
代数学の基本定理によれば三次方程式の解は高々 3 個であるはずだから、残りの 6 個は、連立方程式の第 2 行を 3 乗したことによる無縁根だと考えられる。無縁根か否かの判断は、
uv = -
A1/3 から行うことができる。即ち、
u はそのまま 3 つの解を与えるだとすれば、もう一方の
v はこの式より決定することになるのである。従って、
-
(
m = 0, 1, 2) がこの二次項のない三次方程式の根の全てである。
U,
V を係数
A1,
A0 で書き戻せば、
-
という根の公式を得る。
一般の場合
A2 が 0 でない一般の場合の解法について考える。実は、二次方程式でいう平方完成に似た手法で、三次方程式の二次項は消去することができる。尚、一般に、
n 次
多項式の
n - 1 次項は、
t =
x +
an-1 /
n と置くことによって消去することができる。
さて、新たな変数 t を t = x + A2 / 3 として用意して、方程式を t に関するものに変形する。つまり、
-
に
x =
t -
A2 / 3 を代入して整理すれば
-
となる。ここで、表記の都合上
-
-
とおくことにする。
そうすると、元の方程式は t3 + pt + q = 0 という二次項がない形の三次方程式に帰着されたわけであり、前述のようにこの t に関する三次方程式は解くことができて、その根は
-
となる。従って、
-
である。これで三次方程式が一般に解くことができた。あとは、
p ,
q を
A2,
A1,
A0 の式に書き戻せば、方程式の根がその係数によって書き表され、根の公式を得たことになるわけである。しかし、そうして表した場合、式が非常に煩雑になってしまうので表記の都合上ここまでとする。
一般的解法にまつわる話
上の公式は、
カルダノの公式と呼ばれる。そう言われるのは、
ジェロラモ・カルダーノが発表した公式であるからだが、実際にこの公式を発見したのはニコロ・フォンタナ(タルタリア)という人物だと言われている。フォンタナはカルダノに、絶対に他言しない約束で三次方程式の一般的解法を教えたが、カルダノはその約束を無視して解法を発表してしまった。フォンタナは自分が発見したことを主張したが、その主張は取り下げられ、現在でも、公的にはカルダノが発見したことになっている。
関連項目
代数方程式
一次方程式
二次方程式
四次方程式
五次方程式