源氏物語
源氏物語(げんじものがたり)は平安時代中期に成立した物語である。作者は紫式部とするのが通説であるが、複数作者説、後世創作説などもある。54帖からなる大長編であり、800首近い数の和歌を含んでいる。
日本文学の黎明期における最高傑作とも評され、しばしば世界最古の小説とさえ言われる。
物語は平安時代を背景に、天皇の皇子として生まれながら臣籍に降下した光源氏を中心に、その息子・娘、そして孫の世代までを描く。
後続して作られた物語の大半は源氏物語の影響を受けており、後に「源氏、狭衣」として二大物語と称されるようになった狭衣物語などはその人物設定や筋立てに多くの類似点が見受けられる。 また文学に限らず、絵巻、香道など,他分野の文化にも影響を与えた点も特筆される。
明治以後多くの現代語訳の試みがなされ、与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴などのものが知られる。二次創作としては橋本治の『窯変源氏物語』、大和和紀の漫画『あさきゆめみし』なども親しまれている。2001年から漫画家江川達也により原文と現代語訳を併読するスタイルで『源氏物語』が青年誌に連載されている。
54帖と言われるが、【雲隠 くもがくれ】は、題のみで、本文は残っていない。これについては、多くの学説がある。「雲隠れは巻名のみ」と表記するものや、若菜を上と下に分けているものがある。また、そもそも54帖ではないとする説もある。下記の「各章の名前」では、雲隠を含めた54帖を述べた。
各章の名前
桐壺(きりつぼ) 帚木(ははきぎ) 空蝉(うつせみ) 夕顔(ゆうがお) 若紫(わかむらさき) 末摘花(すえつむはな) 紅葉賀(もみじのが) 花宴(はなのえん) 葵(あおい) 賢木(さかき) 花散里(はなちるさと) 須磨(すま) 明石(あかし) 澪標(みおつくし) 蓬生(よもぎう) 関屋(せきや) 絵合(えあわせ) 松風(まつかぜ) 薄雲(うすぐも) 朝顔(あさがお) 少女(おとめ) 玉鬘(たまかずら) 初音(はつね) 胡蝶(こちょう) 螢(ほたる) 常夏(とこなつ) 篝火(かがりび) 野分(のわき) 行幸(みゆき) 藤袴(ふじばかま) 真木柱(まきばしら) 梅枝(うめがえ) 藤裏葉(ふじのうらは) 若菜(わかな) 柏木(かしわぎ) 横笛(よこぶえ) 鈴虫(すずむし) 夕霧(ゆうぎり) 御法(みのり) 幻(まぼろし) 雲隠(くもがくれ) 匂宮(におうのみや) 紅梅(こうばい) 竹河(たけかわ) 橋姫(はしひめ) 椎本(しいがもと) 総角(あげまき) 早蕨(さわらび) 宿木(やどりき) 東屋(あずまや) 浮舟(うきふね) 蜻蛉(かげろう) 手習(てならい) 夢浮橋(ゆめのうきはし)桐壺
はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方がた、めざましきものにおとしめ嫉みたまふ。同じほど、それより下臈の更衣たちは、ましてやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いと篤しくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえ憚らせたまはず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。
上達部、上人なども、あいなく目を側めつつ、「いとまばゆき人の御おぼえなり。唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れ、悪しかりけれ」と、やうやう天の下にもあぢきなう、人のもてなやみぐさになりて、楊貴妃の例も引き出でつべくなりゆくに、いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひたまふ。
父の大納言は亡くなりて、母北の方なむいにしへの人のよしあるにて、親うち具し、さしあたりて世のおぼえはなやかなる御方がたにもいたう劣らず、なにごとの儀式をももてなしたまひけれど、とりたててはかばかしき後見しなければ、事ある時は、なほ拠り所なく心細げなり。
外部リンク
オンライン図書館 青空文庫の http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person52.html で与謝野晶子による現代語訳が読める。(2004年7月現在、【宿り木】以降の章はオンラインの作業が終わっていない) (フリー、再利用可能)。 下の、 http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/ からリンクされている宮脇文経氏作成「源氏物語の世界 再編集版」によると、『全訳源氏物語は、すでに著作権が切れているため、全文を公開したホームページがあります。』との事で、 http://www.genji.co.jp/yosano/yosano.html にリンクがはられていて、こちらでも与謝野晶子の現代語訳が読める。 http://ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/np/genji.html 原文と注釈が http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/ から読める。