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潜水艦

潜水艦せんすいかん)とは、水中で活動することができる軍事用の船のこと。兵器は安全保障上の問題からスペックなどには不明な点が多いがその中でも特に潜水艦は機密事項が多い。

「艦」という字が軍事用の船という意味なので、海底探査や遊覧用に使われるものは潜水艇潜水船と呼ばれる。

潜水艦の歴史

乗り物や器に入って潜水することも潜水船のひとつと含めるならば、潜水船の歴史はかなり古く、紀元前4世紀ごろにはアレキサンダー大王がガラスの樽に入って海底遊覧をしたとの記述もある(現在ではダイビングベルと呼ばれるもの)。だが一般に存在が確認されているもので一番古いとされているものは、1620年イギリスで作られた12人乗りで手漕ぎ式の木製潜水艦である。

潜水艦が主に活躍するようになったのは第一次世界大戦のころで、特にドイツの無制限潜水艦作戦は有名である。これはドイツの指定する航路以外を通った船舶を無制限に撃沈すると言うものであった。作戦は有効であり、イギリスの帆船がこの作戦により絶滅したとの説もある。しかし、国際法違反のこの無制限作戦は、アメリカの参戦を招く結果となった。

また第二次世界大戦のころは通商破壊の他に艦隊攻撃にも威力を発揮し、再びドイツがイギリスを封鎖し、アメリカが日本の輸送船を撃沈しつづけた。イギリスはアメリカの協力や対潜護衛戦術・兵器の強化などで何とかこれを乗り切ったが、日本には両方とも無く、本土が深刻な物資(特に燃料)不足に陥った。

なお、本大戦期における主な技術的進歩としては水中速力や潜航深度の増大、水中聴音機などの電子装備の発展、そして航空機を搭載するなどの遠隔攻撃力の付加等が挙げられるが、これらは各国の潜水艦が戦後、飛躍的な技術的進歩を遂げる基礎となるものであった。

現代では原子力潜水艦(原潜)の開発により驚異的な潜航時間が得られ、また発見されづらいという特徴などから弾道ミサイルを搭載した戦略潜水艦が核戦略の重要な一端を担っている。

また原子力ではない通常型潜水艦は、原潜に比べて安価であり静粛性に優れるため、現在でも多く使われている。通常型潜水艦は水上ではディーゼルエンジンで航走しつつ蓄電池を充電し、水中においては蓄電池でモーターを回転させて行動するが、可潜艦の別名が示す通り潜航時間が短いという問題がある。そのため現在では潜航時間を延ばすためにスターリングエンジンや閉サイクルディーゼル、そして自動車用としても有名になりつつある燃料電池などの非大気依存推進(AIP)を搭載する潜水艦も研究され、一部ではすでに実用化されている。一時期弾道ミサイルを搭載した通常動力の潜水艦もあったが戦略的意味合いは低く現在新規の開発はおこなわれていない。但し魚雷発射管からの発射が可能な巡航ミサイルや対艦ミサイルを搭載した通常動力艦は全世界的に増加傾向にあり、その保有国も近年はひたすら増加の一途をたどっている。

潜水艦の構造

潜水艦は通常の水上艦に比べ狭いため居住性が悪く、外の景色を見ることもできないことなどから水上艦に比べ乗組員が受けるストレスは大きく、原潜の潜航時間は乗組員の精神面で決まるといっても過言ではない。

潜水艦の形状は大きく分けて水上航行に向いた形と水中航行に向いた形の二つにわけられ、1950年代までは水上航行に向いた従来艦と同じような形状であるものが多かったが、アメリカのバーベル級涙滴型潜水艦(通常動力)を皮切りに西側各国で水中航行に向いた涙滴型・葉巻型潜水艦が徐々に増えていき、現在では旧東側を含め新造されるほとんどの艦が水中航行に向いた形状となっている。

艦体(船殻材)には深深度への潜航を可能とするため主に高張力鋼が用いられ、材質自体も絶えず改良を加えられている。一方ロシア(旧ソ連)の一部の艦では潜航深度の一層の増大を目指してチタニウム合金が使用されたが、加工が困難であることや音波の反射性が高いこと、そして高張力鋼を使用した場合に比べて格段にコストが高いことなどから一般化していない。

また推進機構も小型推進器を複数備えてこれを高速回転させて推進する方式から大型推進器を艦体規模に応じて1基ないし2基搭載して低速回転で推力を得る方式へと進化し、その後は推進器回転時に推進翼端に発生する気泡破裂音(キャビテーションノイズ)を低減する方策として推進翼に後退角をつけたスキュードプロペラが用いられるようになった。このプロペラの加工には高度な工作機械が必要とされるが、冷戦時代この工作機械を東芝グループ企業である東芝機械がソ連に不正に輸出した事件が起こった。このため東芝がアメリカで糾弾の対象となり同社製品の不買運動が起こった事もある。さらに近年は原潜を中心にポンプジェット推進器がトレンドになりつつある。

潜水艦が敵艦を発見する方法としては主にレーダー、潜望鏡、ソナーの3つがあるが水中ではレーダーが使用できず、潜望鏡は水深10m程度のところまでしか使用できない。また潜航中の敵潜水艦はこの二つでは発見できないため敵艦の発見には専らソナーが使用される。兵装は対艦、対潜用の魚雷、対艦ミサイルなどが主であるが、それに加えて前出の通り巡航ミサイルや弾道ミサイルが装備されている艦もある。なお航空機に対しては下手に戦うより潜航して身を隠したほうが安全なため対空兵装は装備されていないことが多い。

逆に水上艦や航空機が潜水艦を発見する方法としてはソナーや磁気探知装置(MAD)などがある。ソナーによる探知に対しては防振機構の搭載や船殻外面への吸音タイルの設置などの技術的改良から、艦内床面へのゴムシート敷設や乗員のゴム底靴使用など単純に音を出さない工夫まで、ありとあらゆる対策を実施して防衛手段としている。磁気探知装置は潜水艦の船体鋼が帯びる弱い磁気によって発生する地磁気の乱れを観測するもので、これに対応するため潜水艦は定期的に専用設備において消磁を実施する。

現在の潜水船深度世界記録は、1960年にアメリカのトリエステ2号が出した深度10,916mである。

関連項目

Uボート




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