推理小説
推理小説(すいりしょうせつ)は、小説のジャンルのひとつ。殺人・盗難など、なんらかの事件・犯罪の発生と、その解決へ向けての経過を描くもの。日本ではかつて探偵小説と呼ばれていたが、第二次大戦後、「偵」の字が当用漢字ではなかったこともあって「推理小説」の名が一般的になった。「探偵小説」は、ジャンル名としては廃れていったものの、ロマン的な響きを持つため、未だ愛用している人も多い。英語の"Detective Novel"、"Detective Fiction"、"Mystery"の訳語でもある。犯罪小説とかなり重なる部分もあるが、厳密には区別されるべきものだろう。
また、「ミステリー小説」(あるいは「ミステリ小説」)、もしくは単に「ミステリー(ミステリ)」とも呼ばれる。最後の長音の有無は、理系用語でメモリ節約のためにデーターをデータ、コンピューターをコンピュータと略する習慣が適用されたものらしいが、ここに重大な差異を見出して別物と定義する人もいる。
推理小説の分類
- 下記の分類は、互いに相反するものとは限らず、一つの作品が以下の複数の分類に当てはまることがある。
歴史
推理小説の誕生
世界初の推理小説は、エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」であると言われるが、聖書にも推理自体はあり、どこに端を発するかと言う議論は果てしない。しかし、確実に言えるのは、1830年代にイギリスにおいて警察制度が整ったことにより、犯罪に対する新しい感覚が生まれたと言うことである。1830年代に一世を風靡したニューゲイト小説は、ニューゲイト監獄の発行した犯罪の記録を元に書かれた犯罪小説であり、後の近代推理小説が生まれる基盤を作ったといえるだろう。
また、権利と義務の体系が整い、司法制度や基本的人権の尊重がある程度確立した社会が成立していることも、推理小説に欠かすことのできない要素であると考えられる。
推理小説と言うジャンルの確立には警察組織の存在が大きかった。法を手に犯罪者を捕らえる新しい形のヒーローが誕生した裏側には、また急速に都市化が進んでいくイギリスに於いて、都市の暗黒部に対する一般市民の不安が高まっていた、という歴史的事実も見逃せない。また都市化に伴うストレスのはけ口として、「殺人事件」というモチーフの持つ非日常性が必要とされていたという見方もある。
作家
推理小説を著す作家は、推理作家、ミステリ作家などと呼ばれる。推理小説を専業にする作家と、他のジャンルの小説をも同時に手がける作家と、大きくこの二つに分けられる。近年では、作家本人は推理小説を書いている意識がないのにもかかわらず、読者や評論家から推理作家に分類されてしまう場合があるなど、書き手と読み手との意識のずれもみられる。 推理作家一覧
探偵
推理小説には魅力的な探偵が登場して事件を解決することが多い(もちろん、探偵の登場しない推理小説もある)。特に有名な探偵は、推理小説の名探偵一覧を参照。
参考文献
権田萬治・新保博久監修『日本ミステリー事典』(『新潮選書』)、新潮社、2000年2月。ISBN 4-10-600581-6 権田萬治監修『海外ミステリー事典』(『新潮選書』)、新潮社、2000年2月。ISBN 4-10-600582-4 高橋哲雄『ミステリーの社会学-近代的「気晴らし」の条件』(『中公新書』940)、中央公論社、1989年9月。ISBN 4-12-100940-1 森英俊編著『世界ミステリ作家事典[本格派篇]』、国書刊行会、1998年1月。ISBN 4-336-04052-4 森英俊編『世界ミステリ作家事典[ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇]』、国書刊行会、2003年12月。ISBN 4-336-04527-5 ハワード・ヘイクラフト編(仁賀克雄編・訳)『ミステリの美学』、成甲書房、2003年3月。ISBN 4-88086-143-X
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