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交通

交通(こうつう、Transport)とは、人や物が物理的に移動する為に整備されたしくみである。これを利用して運輸業が発達した。

交通に用いられる手段・方法を交通機関または交通システムと呼ぶ。交通機関を構成する要素としては、次のようなものがある。

;交通インフラ

線路道路、航路などの交通路空港などの交通ターミナルを指す。単一もしくは複数の交通機関によって網の目のようにめぐらされた交通路を交通網(交通ネットワーク)という。
;交通具
車両、航空機などを指す。
;運行制御
ITS、鉄道の運行計画、道路の信号制御、航空管制など。
;営業システム
運賃、収益管理、マーケティングなど。

交通の歴史

初期の交通

もっとも基本的な交通手段は人間そのものが歩くことである。しかし、人間が歩くだけでは、移動距離が限られてしまう。人間は4km/h程度の速度であるので、一日当たりせいぜい30~40kmの移動が限界である。また、荷物を輸送することを考えても、一人の人間が持てる荷物はさほど多くない。そのため、より高速に、より大量に輸送を行なう方法が考えられて来た。

一番始めに用いられたのは、動物を利用する方法である。利用された動物はいろいろあるが、一般的には、あるいはその近隣種が利用された。それらの動物を利用することで、人間が単独で行動するときの数倍のスピードや貨物輸送量を得られるようになった。

また、原始的な交通手段としては、の存在が挙げられる。洪水などで、流木などが流れるのを見て、流木につかまって、移動することを覚えたのだろう。しかし、そのままでは、転覆してしまうので、人間がより乗りやすく、さらに、もっと速く移動することを考え、人力で加速するオール、そして、風の力を使って加速し、舟を安定させる帆が発明された。

車輪の発明

古代メソポタミア文明で車輪の絵が残っている、また、古代中国でも車輪が使われており、秦始皇帝は車軌の統一を行った。
一方、マヤ文明では、車輪を実用化した痕跡はない。

道路の発明

ローマ帝国時代には、ローマから各地に向かう石畳の道路が整備された。これらはローマ街道と呼ばれる。「帝国内の各地にいち早く軍隊を派遣することが出来る」という軍事目的であったが、ここから「すべての道はローマに通ず」という言葉も生まれた。ドイツの観光街道の1つ「ロマンチック街道」は、そのローマに続く道が今に残ったものである。また、イタリアには「アッピア街道」がほぼ当時のままの形で残されており、21世紀の現在でも利用されている。

近代における交通

近代における交通は、機械を利用した交通手段を用いたことに特徴がある。その中で重要なのは、鉄道自動車航空機の発明である。逆にいえば、そうしたものを通し人は、移動することを生業とするともいえるだろう。建築家の黒川紀章は、牧畜民、農民といった生活形態での区別に、現代人を「動民」(ホモ・モーベンス)として位置づけた。

鉄道の歴史

車輪で何度も往復すると、どうしても轍がのこってしまう。これが、輸送の妨げとなり、能率的な移動が期待できなかった。そこで、木をしいて、轍ができないようにした。しかし、木だと、すぐ削れる、腐るなどの問題が起こった。そこで、木を鉄板にかえることにより、丈夫なレールができた。しかし、これでも、脱線が起こるという問題が起こった。そこで、レールをL字型にするなど、脱線しないよう工夫がされ、現在のエの字型に落ち着いた。

動力については、最初の人力から、馬力、スチーブンソンが発明した蒸気機関車電車内燃機関が発達したことによりディーゼルカー(初期にはガソリンエンジンを利用したガソリンカーもあった)へと主役が移った。

鉄道は、速く、大量に輸送できるということで、貨物の主役は次第に鉄道へと移っていった。また、都市では、軌道路面電車)が敷設され、市民に身近な交通機関となった。

現代の交通

陸路

鉄道

現在、日本の鉄道網はほぼ完成状態にあるといえる。主要都市間の鉄道網は完備し、高速鉄道網(新幹線)も主要な部分は完成している。
また、都市の移動には鉄道は他の交通機関と比べても優位性がある。短距離であるため、航空機と比べて到達時間に優位性があること、比較的乗客が多いため、利益が確保できることなどがあるからである。日本やヨーロッパなど、都市間での移動需要が一定量ある場合、鉄道はよく使われている。

しかし、現在の鉄道は、いくつもの課題を抱えているのも事実である。
まず、自動車の存在があげられる。自動車の登場により、自動車の小回りのきく輸送力には鉄道は太刀打ちできず、主要都市間を除く鉄道網は次第に衰え始めた。さらに、都市内の軌道においても、道路上の車の台数が多すぎて、身動きができなくり、ついには廃止される都市が多くなった。また、都市内部の鉄道網も、慢性的な通勤ラッシュが続いている。
一方、都市間の交通需要も、最近では、高速道路の整備により、高速道路を利用した高速バスが、都市間連絡に使われ、鉄道の領域を脅かしつつある。特に、鉄道で行くと遠回りになったり、速達性の高い列車が走っていない都市間ではよく使われている。また、鉄道を使った場合の料金よりも安いのもメリットである。都市間連絡の夜行バスなどは、夜行列車が少なくなっている現状では、現地での有効時間を十分に利用できること、鉄道+ホテルよりも料金が安いことなどから大きな需要がある。
中距離以上の移動に関しては、航空機と完全な競争状態にある。空港でかかる搭乗時間や空港までのアクセス時間等を考慮しても、鉄道は不利な状況にある。最近では飛行機のチケットが、定価よりも大幅に安い各種割引プランで買えることで、金額的にもかなり不利になりつつある。新幹線網が使えるところなどを除き、中距離以上では飛行機に分があるところの方が多い。

また、需要が多い都市近郊の輸送においても、輸送量が増えすぎ、設備の強化をする(増結、複々線化、高密度運転化など)に多額の経費がかかり、経営に足かせとなっていることもある。少子化で将来的に通勤/通学需要が減っていくことも懸念材料である。そのため、各社とも、効率的な投資、ダイヤの組み替えによる利便性の向上、駅設備での関連事業の強化(いわゆる駅ナカやホテル事業など)等で、経営状態の安定化を図っている。たとえば、銚子電鉄では、片手間で始めた副業(せんべいの販売)が本業の赤字を補うほどの収入を上げているし、紀州鉄道は、鉄道という名前はついているが、本業はほとんど不動産業である。

しかし、エネルギー効率が悪く、排気ガス等の問題がある自動車中心の交通網を見直す動きも出てきている。モーダルシフトという概念である。大量に、かつ定時性を確保するための交通手段として、鉄道が見直されてきている。輸送量があまりない地域では鉄道が成り立たなくなりつつあるが、都市部などでは、最新式の車両を使ったLRTなどの導入が再検討されつつある。
また、交通弱者対策として、駅設備等のバリアフリー化を行ない、サービス向上に努め、競争力を高めて需要を喚起する事も重要である。 そのような傾向とは対極的に、近年では規制緩和の流れから、鉄道事業法が改正され、事業者の市場への参入と退出の規制が緩和された。そのため、採算を取るのが難しい地方私鉄や第3セクター鉄道では、存廃論議が再燃しているところもある。また、都市やニュータウンにおける鉄道も、初期投資の割りに予測どおりの輸送人員が得られず、赤字に陥っているところも多い。

バス

現代の輸送手段としてのバスは、色々な形態で使われている。

1番目は都市内や地域内での輸送手段としてのバスである。住宅地から駅までの輸送手段として広く使われている。しかし、自家用車の利用度が高くなるにつれ、通勤/通学以外の需要が減ってきている。そのため、採算が取れず、便数の削減や路線そのものの廃止になっているものもある。

廃止されてしまうと、自家用車に乗れない交通弱者にとっては移動手段が無くなってしまうという問題が出る。そのため、自治体が補助したり、自治体が主体となってバスを運行させているところもある。その1つの形態としては、コミュニティバスがある。バスそのものも、バリアフリー化(たとえばノンステップ化、車椅子対応)を行なったり、低公害車を積極的に行なっている。

2番目は、都市間を結ぶバスである。高速道路網の発達により、車での都市間の移動が非常に行ないやすくなったので、都市間を結ぶ高速バス網が発達してきた。場所によっては鉄道よりも早く、料金が安いこともあり、現在では広く利用されてきている。

タクシー

タクシーの運賃は地域で固定化され、競争原理が働かなかったが、1993年に規制緩和により、まず「同一地域同一運賃」制度が廃止され、1997年にはある程度の範囲で運賃を自由に設定できるゾーン運賃制や初乗り距離を短くするかわりに初乗り運賃を安くする初乗距離短縮運賃制が実施されるようになった。さらに、2002年に道路運送法が改正され、一定以下であれば自由に運賃を設定できる上限運賃制が導入された。そのため、同じ地域でも複数の運賃で運用されている。
タクシーの利用は景気に左右されることが多い。景気がよい時には、社用族が深夜接待後に使うことが多かったが、不況になると、社用族の利用が減り、現在は利用が減っている。このため、現在では定額制(空港までXXXX円など)や、乗合タクシー、福祉タクシーなど、需要を増やすための工夫がなされている。

自転車

自転車はその構造の性質上、大量輸送交通手段としてではなく短距離を結ぶ移動手段、輸送手段として用いられることがほとんどである。
移動手段としての自転車は他の交通手段、特に鉄道への連絡輸送手段として広く使われており、駅まで若干距離がある住宅地から駅までの交通手段として使われている。
鉄道に乗り換えた利用者が利用していた自転車は、通勤・通学などとして用いられるころが多く長時間にわたって駅前に置くことになってしまうため、その置き場所の確保が問題になっている。都市部の住宅地の中にある駅などでは駅前に十分な空間がないところが多く、駅前に放置されている自転車が大きな問題になっている。
そのため、駅前に有料の自転車置き場を作ったり、高架下を有効に活用したりするなどの対策を立てている自治体も多いが、住宅地の密集化により、追いついていないのが現状である。定期的に放置自転車を排除したりしている場合もあるが、せいぜい数日で元にもどってしまう。
そこで、鉄道会社に対策費用を出させるための税を計画している自治体や、レンタサイクルの活用を考えている自治体もある。
輸送手段としての自転車にはバイク便に似た業種としての自転車便というものがあり都市部においてその小回りの良さを捉えて運用されている。

空路

空輸については、戦後国策として、国際線を担当する日本航空(現・日本航空インターナショナル)、国内線幹線を担当する全日本空輸、その他の路線を担当する東亜国内航空(現・日本航空ジャパン)の大手3社体制が長らく続いていた。しかし、規制緩和政策に伴い、航空各社の裁量度合いが高まるにつれ、航空会社間の競争が激しくなってきた。整備などを外注化し、低運賃を目玉とするスカイマークエアラインズや北海道国際航空(AirDo)等も設立された。しかし、競争激化に伴い、採算割れになる会社も現われた。また、日本航空と日本エアシステムは持株会社方式で経営統合している。
 また、近距離の都市間を、小さな飛行機で結ぶコミューター路線も開設された。しかし、なかなか採算が取れないのも現状である。さらに、地元からの積極的な誘致により新しく開港した空港も、需要が見込めず、ほとんど飛行機の発着がない空港もある。たとえば、オホーツク紋別空港は一日2便(一往復)しかない。枕崎空港は定期便の発着がない状態である。

海路・水路

ふだん内陸部で生活することを常とする大半の人にとって、海運による航路というものは、交通手段としてあまり見えるものではないが、日本のような島国では、エネルギー、食料の大半は国外からの海路で供給されるものであり、また古くから江戸時代になっても、日本の北部、日本海側と太平洋側、あるいは瀬戸内側の物資の交流、米、海産物、木材の交易は、北前船という独特の構造をもった船で運ばれた。今日、よく知られた書店にその名前を残す紀伊国屋文左衛門も、やはりそうした交易で財を成した人物である。鉄道網の発達で、その重要度はいくらか下がったとはいえ、生活ラインを維持する上での海路の交通は大切なものである。

現在は、長距離の旅客を輸送するという目的では、船舶の需要はほとんどない。小笠原等、選択肢がないもの以外は、航空機や鉄道、あるいは長距離バスによって需要がまかなわれている。船舶の速度は他の輸送手段に比べて格段に遅いため、競争にならないからである。
現在旅客を輸送するという目的では、離島への輸送、高速船(水中翼船ホバークラフト)による短距離の輸送がほとんどである。新潟-佐渡や大分-大分空港などがその代表的な例である。
長距離向けにはフェリーが利用されている。たとえば、東京から北海道や南紀、あるいは四国、九州等へ、おおよそ2日くらいかけて航行する航路が開設されている。それほど急ぐものでない貨物の輸送や、安価に移動したい人が使っている。

ヨーロッパでは、これに加えて運河網が発達しており、フランスなどは、ヨットで水路だけで国をほぼ一周できるといわれるくらいに、運河が発達している。ドイツも、東西に分割されていた時代は、西ドイツからのベルリンへの物資の供給はほとんど水路であったというくらい。オランダなどについては、いうまでもないことである。

主な交通機関

鉄道 - 線路JRJR北海道JR東日本JR東海JR西日本JR四国JR九州JR貨物私鉄路面電車地下鉄新交通システムモノレール索道(ロープウェイ) • ケーブルカートロリーバスリニアモーターカー 道路高速道路自動車オートバイ自転車バス路線バス高速バスコミュニティバスタクシー乗合タクシー 航空 - 空港飛行場飛行機ヘリコプター

船舶 - 港湾運河フェリー鉄道連絡船ヨットボート双胴船水中翼船ホバークラフト

交通機関の特性

交通機関には、次のような特性がある。

まず、「なくてはならないもの」であること。交通網が高度に発達した現在、人間は交通網を利用して簡単に移動することができるようになった。交通機関の一部がストップするだけでも社会問題となるのは、多くの人が通勤・通学といった日常生活や業務を交通機関に頼っているからである。また、これらの目的を達成する手段として交通を利用する「派生的需要」の他、ドライブや鉄道旅行といった移動そのものが目的の「本源的需要」もある。

2つ目に、投資規模が大きいこと。一般に交通機関を整備するには巨額の費用がかかる。空間的に移動することが交通の目的であるため、広域な設備が必要になる。また、通勤ラッシュのように集中的な需要も発生するため、大容量の確保が過剰な投資に繋がりやすい。更に、これらの施設や交通具は、他の用途への転用が難しいため、サンクコストが大きくなる。

3つ目に、施設の耐用年数が長いこと。コンクリート盛土などの材料でできた施設は、長い将来にわたって使用されることになる。将来の需要予測には大きな不確定要素が伴うので、投資の意思決定が困難になる。

関連項目

日本の交通 • 世界の交通 • 公共交通機関 • 交通工学 • 都市交通工学交通事故交通権

外部リンク

国土交通省鉄道局 - 道路局 - 自動車交通局 - 港湾局 - 航空局




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