環境問題
有史以来、人類は自然環境を資源として利用しながら文明を発展させてきた。このため原始的な狩猟採集生活に比較してはるかに高い生産力を実現し、文化的な生活を保つことができたのである。しかし、環境に過大な変化をもたらすことが逆に人類の生活を脅かす結果になる事態もみられる。これが、環境問題(かんきょうもんだい)である。環境問題の文明への影響は紀元前からみられる。エジプト・メソポタミアなどの古代文明は森林の過剰な伐採が原因で砂漠化を招き、生産力を保てなくなって衰亡したと言われている。しかし、環境問題が特に顕著となってきたのは産業革命以降である。石油や石炭などの化石燃料を使用することで莫大なエネルギーを取り出すことが可能になり、また、石油化学工業によって多くの人工物質を合成・使用することができるようになったことは、人類の活動が環境に与える影響もより多くなったことを意味する。
20世紀末期までは、環境破壊の重大さは比較的軽視される傾向があった。経済的な要請と環境の保護は相反することが多く、結果として経済的な発展と引き換えに、環境に多大な負担をかけざるを得なかったという側面がある。
環境問題が一般に取り上げられるようになった契機としてレイチェル・カーソンの『沈黙の春』 (1962年)が挙げられる。同書は産業界からは激しい非難を浴びたが、DDTの全面禁止など、その後の 米国の環境行政に大きな影響を与えた。 その後、酸性雨、地球温暖化、異常気象など全地球規模の気候の変化が顕著になってくるにつれ、人々の環境に対する関心は徐々に高まってきた。環境ブームとも言える、「環境に優しい」「地球に優しい」製品がもてはやされる傾向が出現してきたのもそれに含まれる。安易な発想にもみえるが、一面では喜ばしい現象であると言える。それは、環境への負荷を減らす行動が、企業にとって営利追求と一致することになるからである。
分類
環境問題に含まれる諸問題は、地球規模の影響がある地球環境問題と、有害物質による健康被害など、地域の環境問題(公害に近い)に分類することができる。これらの解決は、必ずしも両立できない場合がある。例として、乗用車のエンジンにヨーロッパではディーゼルエンジンが、日本や米国ではガソリンエンジンが推奨される。ヨーロッパでは、燃費が良く二酸化炭素排出量の少ないディーゼル機関が地球環境保護に有用である点が、日本では有害物質の排出量が多いディーゼル機関が健康被害をもたらす点が重要視されているのである。
(もっとも、上記の例においても燃料電池技術の開発など、両者を両立しうる解決法が実現されつつある点は指摘できる) 地球環境問題 地球温暖化 オゾンホール 砂漠化 森林破壊 生物の多様性 酸性雨 異常気象 地域の環境問題 ゴミ問題、産業廃棄物 大気汚染 水質汚染 土壌汚染 騒音公害 光害 有害物質(ダイオキシンなど) 塩害 土壌流出 国際的な環境問題 有害廃棄物の越境移動 モノカルチャー 遺伝子汚染
環境保護
二酸化炭素、メタン、フロンガスといった地球温暖化ガスの排出量を削減する国際的な枠組みである京都議定書に対し、米国ブッシュ政権が離脱を表明するなど、環境に対する国家間の足並みは大きく乱れている。 その反面、NGOという形での市民活動のほか、国家的な取り組み(排出規制、環境基準、研究)や、企業による取り組み(環境技術の開発、ゼロ・エミッションの追求、リサイクルなど)といったかたちで、環境破壊を食い止め、もしくは復元することを目指す運動は様々な形で推進されている。営利を目的としない市民活動をNPOとして優遇する体制も整備されてきている。さらにカーシェアリングやレジ袋の使用自粛 など草の根レベルでの環境に対する取り組みも盛んになってきている。
持続可能性(Sustainability)
比較的新しい概念として、環境負荷を低くして文明を永続させるための持続可能な発展や持続可能性ということが国際的に盛んに言われている。パーマカルチャーという永続可能な農業・生活設計やそれを実践したエコビレッジなどが各地にあり、なかでもオーストラリアにあるクリスタルウォーターズが有名である。