百科事典
百科事典(ひゃっかじてん)とは、一般市民の啓蒙を目的として、文科・理科・芸術等さまざまな分野の知識の概要を、項目ごとに整理・記述して、誰でも容易に見られるように、まとめたものである。言葉と用法を主に解説した辞典(辞書)とは異なり、写真や図を用いて総合的な解説を行うことを特徴とする。字典・辞典(字書・辞書)を「ことばてん」というのと区別して、事典を「ことてん」という。
体裁
伝統的に百科事典は、ブリタニカなどでよく知られるように全ての分野のトピックを扱うものと、または薬学百科事典・哲学百科事典などのように特定の専門分野に関連する項目を網羅するものとがある。世の中では特定の分野に限定した百科事典や、特定の視点からみた百科事典が膨大な数出回っている。媒体は、以前は書籍のみであったが、現在では、書籍、電子辞書、CD-ROM/DVD-ROM、メモリーカード、ウェブとさまざまな形態がある。
歴史
百科事典に近いものとしては、明の時代の中国に、14部構成・全106巻に及ぶ『三才図会(さんさいずえ)』という図入りの百科事典があった。1607年に完成、二年後に刊行された。日本ではこれに倣い、江戸時代の1712年、寺島良安によって『和漢三才図会』がまとめられた。こちらも図解書で、解説は漢文で書かれた。これらも広義の百科事典と呼べるが、同時代人にとっての世界観を反映しているため、現代人からは空想の産物としか考えられない「不死国」「長脚国」などについての記述も一部には見られ、『山海経』との共通が指摘される。一般に世界最初の百科事典と呼ばれているのは、フランス革命前夜、フランスでダランベール、ディドロ、ヴォルテール、ルソーらが企画した分冊の『百科全書』(enciclopedie)である。彼らは予約購読者を募り、分冊販売としてそれを刊行。ただし、それぞれの項目の執筆姿勢などで意見の食い違いが生じ、内紛から離脱者が絶えなかった。しかし、この企てにより彼らは「百科全書派」と呼ばれている。
この百科全書の特徴は、「美」、「愛」、「音楽」といった大項目の他に、近代に登場した新しい技術を断面図などを含む絵入りの図解で分かりやすく解説、新知識を広く一般の共有財産にしようとしたことにある。良く知られる項目では、「農機具」、「石炭の露天掘り」、「洗濯船」、「回り舞台」などがある。これは、今日の月刊○○百科といった趣向で、映画、医薬、英語、日本史、世界遺産などのテーマで刊行され、完結時にはファイルするとそのテーマの百科になるという類のもの(分冊百科)の元祖である。各項目の配列を、編集者の価値観に秩序付けられる概念の関係によらず、いわば機械的で一律なアルファベット順にしたことも特筆すべき点である。これ以後、百科事典という語は知の一切を叙述する企ての異称としても用いられる。代表的な例としてヘーゲルの『エンツィクロペディー』(ドイツ語で「百科事典」の意)が挙げられる。
近代の日本では、明治の文明開化の時期に西周(にし あまね)によって『百学連環』という日本初の百科事典が作られた。他に小中村清矩らの尽力で成立した『故事類苑』がある。当時の代表的な事典で、1879年ころ当時の文部省により編纂が開始され、後には神宮司庁が引き継いで1914年に完成された。各時代の事物についての古文献を集成したため、資料的価値が高い。
明治末には三省堂『日本百科大辞典』(全10巻、1908年刊行開始、1919年完結)などが、昭和初期からは平凡社『大百科事典』(全28巻、1931年刊行開始、1934年完結)などが発刊された。新たに「辞典」ではなく「事典」という語を作り出して書名に使用したのは、この平凡社のものが最初で、以後「百科事典」という漢字表記が一般化する。さらに昭和期の高度経済成長を経ると1960年代頃には各家庭に分冊の百科事典が置かれているのは珍しい風景ではなくなり、すっかり大衆化を果たした。やがて類似の出版物として『現代用語の基礎知識』のような時代風俗を映す資料集的なものも市場に現れるようになった。
1980年以降は、コンピュータの普及に伴い、百科事典はコンピュータソフトウェアとしても出回るようになった。さらに2000年頃からは、インターネットの普及に伴い、ウェブとしても出回りはじめた。
主な百科事典の出版元
平凡社 世界大百科事典 - 書籍、CD-ROM、Web(外部リンク) マイペディア - 書籍、CD-ROM、Web、電子辞書、メモリーカード 小学館 日本大百科全書(ジャポニカ) - 書籍、CD-ROM、電子ブック ブリタニカ ブリタニカ百科事典 - Web(外部リンク) マイクロソフト エンカルタ -CD-ROM、Web(外部リンク)
その他のインターネット上の百科事典
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