管理栄養士
管理栄養士(かんりえいようし)は、昭和37年(1962)の栄養士法の改正によって、栄養士の上位の資格として創設された(昭和39年4月から施行)。
時代背景
管理栄養士制度が創設された当時は、日本が高齢化社会に突入する直前で、健康な老後を迎えるための生活習慣病(当時は成人病といった)の予防が社会の関心事になっていた。当時の日本では、疾患と関連のある食生活指導の充実を図ることが必要かつ急務であった。また、DNAの構造発見以来、栄養学の土台となっている生化学など生命にかかわる基礎科学が大きく進展したこともあって、栄養指導なども、それまでのやり方だけでは対応できず、幅広く高度な知識が必要になり、専門職である栄養士の資質向上が望まれたことから管理栄養士制度ができた。当初の法の定義では、管理栄養士は「複雑又は困難なものを行う適格性を有する者として登録された栄養士」であった(栄養士法 第1条第2項)。
さらに時代が下って、昭和52年(1977)。アメリカ上院栄養問題特別委員会から5000ページにおよぶリポート(マクガバンリポート)提出され、「食生活がこのまま推移すると病気のために経済が破綻する」とマクガバン委員長が発言。「食べた物があなたです」というスローガンが提唱された。
昭和60年(1985)、栄養士免許は栄養士の養成施設(栄養学校)の卒業者すべてに与えられることになり、栄養士試験は廃止された。管理栄養士の登録は、管理栄養士国家試験に合格した者について行うこととなった。また、大規模な集団給食施設には管理栄養士を配置しなければならないとされた。
厚生省は「健康づくりのための食生活指針」を発表。
昭和37年の管理栄養士制度創設以来、30数年を経て管理栄養士の「複雑又は困難な業務」も具体的な形として示す必要がでてきた。平成12年(2000)の栄養士法改正ではこのような状況を踏まえ、管理栄養士が行う「複雑又は困難な」業務の例として「傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導」などが規定されるとともに、管理栄養士国家試験の受験資格の見直しが行われた。さらに、管理栄養士の養成および栄養士の資質の向上を図るために、管理栄養士養成施設及び栄養士養成施設の基準が改められ、平成14年(2002)4月1日より施行された。
国家試験受験資格など
管理栄養士養成施設卒業者に対して従来認めていた試験科目の一部免除を廃止する。 4年制の栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた者に対しては、1年間の実務経験を課す。 2年制及び3年制の栄養士養成施設を卒業して栄養士の免許を受けた者に対しては、それぞれ2年、1年だった実務経験期間を、それぞれ3年、2年にする
- 平成12年改正法では、管理栄養士の受験資格なども改正になった。改正法施行は平成14年4月1日であるがが、国家試験は新たなカリキュラムに沿って養成を行った後に実施する必要があるため、平成17年3月31日までは、現行の受験資格とカリキュラムで試験が行われることとされている。(附則第5条)
管理栄養士に関する誤解の例
下のような記事が、管理栄養士有資格者の運営するホームページ上に書かれていた。「管理栄養士とは、国家資格であると共に、厚生労働省からその資格を語ることが許され、また、医師の指導なしに栄養指導が出来る、唯一の資格です」
前半は間違いないが、後半の「医師の指導なしに栄養指導が出来る、唯一の資格です」は問題である。 おそらく、法改正前の「複雑又は困難な業務」が「傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導」などというように、具体的に規定されたことからきた勘違いであろうが、このような誤った情報をインターネットを通じて公にするようなことがあってはならない。
下記、「栄養士法第5条の5」に明記されているように、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導を行うに当たつては、「主治の医師の指導を受けなければならない」のである。主治の医師とあるから、医師免許所有者であれば誰でもよいというのではない。
疾病者に対する栄養指導は医療行為として認められ、保険点数もつけることができるようになったが、上述のように管理栄養士の資格を拡大解釈して暴走する者がでないともかぎらないので、注意が必要である。
栄養士法(平成12年改正法抜粋)
管理栄養士とは、厚生労働大臣の免許を受けて、管理栄養士の名称を用いて、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導、個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導並びに特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者をいう。(栄養士法 第1条第2項)
管理栄養士は、傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導を行うに当たっては、主治の医師の指導を受けなければならない(同法第5条の5)
関連項目
医療資格一覧