風の谷のナウシカ
風の谷のナウシカ(かぜのたにのナウシカ)は、徳間書店のアニメ情報誌「アニメージュ」に連載された宮崎駿の漫画、および劇場アニメ化作品である。
「火の7日間」と呼ばれる最終戦争により、文明が滅びた後の遠未来世界が舞台となる。人々は発掘される戦争以前のオーバーテクノロジーを利用しつつも、基本的には中世的な生活を送っている。腐海と呼ばれる、巨大な菌類・苔類・シダ類からなる森、そこに棲む蟲(むし)と呼ばれる巨大節足動物群。人々はそれらに脅え、あるいは畏れ敬いながら生きている。
主人公ナウシカは、腐海のほとりにある、辺境の小国「風の谷」の族長の娘である。本作品では腐海や蟲をも愛する心優しいナウシカが様々な人々と出会い、艱難辛苦を重ねて成長し、自らと世界の運命、そして世界の真実の姿に向き合い、受け入れていこうとする姿が描かれていく。
漫画作品のアニメージュ誌上での連載は、中断期間を含め1982年から1994年まで実に13年に渡った。コミックの全7巻分のストーリーのうち、映画版ナウシカに対応するのはその1巻目から2巻目の途中までに過ぎず、ストーリーもかなり異なる。たとえば、コミックで登場しトルメキアと拮抗する勢力である土鬼諸侯連合(ドルク)は映画には登場しない。
自然と科学技術の対立、文明の破壊と再生はいくつかの宮崎駿作品に通底するテーマであるが、本作品もそれを直接取り上げたものの一つである。本作品はいわゆる環境問題を扱っていると見ることもできるが、自然や生き物を実は人間の都合の良いように「保護」しようとすることの傲慢さに対する批判を読み取ることもできる。
忙しい宮崎駿が連載を持つために、鉛筆で書かれたまま作品化されている号もある。
コミックスは海外でも翻訳・発売されている。
1984年にアニメ映画化(公開日は3月11日)され、アニメーション作家としての宮崎駿の知名度を大きく引き上げた。映画はアメリカを含む海外でも上映されたが一部がカットされた状態で行われた。
映画化にあたって募集したイメージガールでグランプリを取ったのが後に女優となった安田成美で、映画の主題歌も歌ったが、実際には使用されなかった。
なおナウシカの名の由来は、ギリシャ神話に登場する王女ナウシカアからと思われる。(オデュッセウスの項目を参照。)
主な勢力
風の谷
主人公ナウシカの故郷である辺境の小国。人口は500人程度。 海から吹き付ける風を動力として活用しながら、中世レベルの農業と採取活動により成り立っている。 また、潮風により腐海の胞子から守られている。
トルメキア
風の谷からはるか西方にある強大な軍事国家。辺境の小国群とは同盟を結んでいる。 ただし映画版ではこのような同盟は存在せず、トルメキアは突然に風の谷に侵攻する勢力として描かれる。国王はヴ王と称し、子は3人の皇子と1人の皇女クシャナ。映画版では王族はクシャナのみ登場する。
土鬼諸侯連合
「土鬼」は「ドルク」と読む。映画版には登場しない。 トルメキアと拮抗する勢力であり、神聖皇帝とその下の僧会が多数の民族を統べている。
ペジテ
トルメキアと同盟を結んでいる小さな都市国家。火の7日間以前の遺跡を発掘し、発見される技術を活かしている工房都市である。
諸設定
腐海
巨大な菌類・苔類・シダ類からなる森である。蟲と呼ばれる巨大な節足動物が多数棲んでいる。腐海植物は猛毒の瘴気を出すため、腐海内では蟲以外の動物はマスクなしには生きられない。胞子の生命力は強く、僅かにでも胞子が持ち込まれればその地は腐海に覆われる。腐海周辺の人々は都市に胞子を持ち込まないように注意を払っている。胞子は発見され次第、迅速に焼却される。
巨神兵
前文明のテクノロジーの象徴的存在であり、「火の7日間」で世界を焼き払った巨大な人工生命体。この世界ではその全てが化石となり腐海にその躯をさらしていると考えられていた。