都市計画
都市計画(としけいかく)とは、都市および都市圏行為の健全な発展と秩序ある整備を図るために策定される計画、またその計画行為や施行を言う。制度としての都市計画は、開発許可を通して開発行為と建築行為を制限することであり、その他、例えば工学に関するものは都市工学、意匠やデザインに関するものは都市設計やアーバン・デザインといい、社会学的・地理学的な側面が強い時にはまちづくりともいう。我が国では、主な制度化されている都市計画として、マスタープラン(都市計画区域マスタープラン、市町村マスタープラン)、都市計画区域・区域区分(市街化区域及び市街化調整区域)、地域地区(用途地域など)、地区計画等(地区計画、集落地区計画、沿道整備計画、防災街区整備地区計画)、都市施設・公園緑地、市街地整備などがある。
従来の都市計画は地方公共団体で作成されるものであったが、平成14年7月における都市計画法の改正及び都市再生特別措置法の制定により、新たに土地所有者、まちづくりNPO等あるいは民間事業者等が、一定の条件を満たすことで都市計画の提案をすることができることが可能になった。
都市計画の歴史
近代都市計画の発展
産業革命以降、農村から都市部への人口流動が加速しだした。急増する人口に都市が耐え切れず、様々な問題が発生した。産業革命が最も早く起こったにイギリスでは、1845年にエンゲルスが「イギリスにおける労働者階級の状態」という報告をしているなど、19世紀半ばから良質な住宅の供給は急務となり、法律の整備が進んでいった。現在の都市計画制度はこの時期にできた住宅供給関連の法律や概念に由来するといえる。
日本の近代都市計画
わが国における都市計画の近代化は、明治政府の招聘による外国人建築家などによってもたらされた。霞が関の官庁街、日比谷公園、鹿鳴館などが建設された。1886年(明治19)には、東京全体をパリのように壮麗な都市にしようとする計画案がヘルマン・エンデとウィルヘルム・ベックマンによって作られている。制度としては1888年、東京市による市区改正条例が公布された。この時点をもって日本の近代都市計画の誕生とすることが一般的である。
現代の都市計画制度
昭和30年代後半から40年代にかけての高度経済成長の過程で、都市への急速な人口や諸機能の集中が進み、市街地の無秩序な外延化が全国共通の課題として深刻化した。現代の都市計画制度はこのような緊急に対応が求められていた社会経済情勢を背景として成立した。都市計画法は昭和43年に制定され、翌年施行された。この後現在に至るまで、2度大きな改正が行われている。平成10年の地方分権一括法による改正では、都市計画を自治事務として地方公共団体が自らの責任と判断によって行われるものとなった。この後、平成12年に当時の建設省が都市計画中央審議会の抜本的見直しを求める答申に沿う形で、都市計画法と建築基準法の改正を行った。これにより、都市計画区域マスタープランの創設、線引きの選択性、準都市計画区域の創設などがなされた。また、都市再生特別措置法の制定と併せ、土地所有者、まちづくりNPO等あるいは民間事業者等が一定の条件を満たすことで都市計画の提案をすることができる都市計画提案制度が導入された。
都市計画関連法令等
一般的な法律
都市計画法 都市再開発法 建築基準法 消防法 土地基本法 土地区画整理法 都市公園法 都市緑地保全法 自然環境保全法 国土利用計画法 環境基本法 環境影響評価法 新都市基盤整備法 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法
施設等に関する法律
高速自動車国道法 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法 幹線道路の沿道の整備に関する法律 官公庁施設の建設等に関する法律
特定の地域に関係する法律
首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律 首都圏近郊緑地保全法 首都圏整備法 地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律 中部圏開発整備法 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律 近畿圏整備法 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法
諸外国の都市計画
イギリス
イギリスでは、19世紀の劣悪な居住環境からくる国民の健康問題に端を発し、1909年には初めて土地利用を扱う法律が制定された。Housing, Town Planning etc. Act 1909 により、新しい住居の建設と劣悪な住居の撤去に関する権限が地方自治体に与えられた。Town and Country Planning Act 1947 では、全ての地方自治体がディベロップメント・プランを策定するようになった。日本の都市計画制度と比較すると、イギリスの都市計画では「開発」および開発許可を必要とする開発行為の適用範囲が広く取られている。「開発」とは、1990 Town and Country Planning Act により建設行為と本質的な利用の変化がある。後者には、土地利用形態 (Use Class) の変更のほか、本質的な変化が認められる場合は開発と認定される。 このため土地利用の規制力が強いといえる。
また、イギリスの制度では開発によって生じるであろう需要増加に対して工事することなどを条件に開発許可を与えることがある (Planning Obligation)。例えば、ある開発が交通や上下水道の需要増加を生じると予想される場合、その増加分程度の工事または出費を開発者に求めることができる。
都市計画理論
田園都市 (ガーデンシティー) 近隣住区理論 都市のイメージ コンパクトシティー パターンランゲージ ニューアーバ二ズム
都市計画上の課題
住宅供給 都市交通 都市景観 都市防災 大気汚染、ゴミ、廃棄物処理
関連項目
都市計画用語 建築 ニュータウン 都市施設
外部リンク
都市計画制度の課題(国土交通省) 日本都市計画学会 学会誌「都市計画」 社団法人都市計画コンサルタント協会 学芸出版社