議会
定義と用法
議会(ぎかい)とは、合議体の一種で、選挙による代議員で構成され、立法権を持つものを言う。議院(ぎいん)と呼ばれることもある。通常の用法では、イギリス・フランスで確立し、他の諸国に普及した近現代のものを指す。議会という語はヨーロッパ中世の封建議会を指す場合にも用いられる。また、近代議会はギリシャ・ローマの制度と似た部分を持っている。しかしどちらも近代議会とは歴史的に異なる性格を持ち、政治体制への組み込み方も異なるので、区別することが多い。
議会の起源
イギリスの封建議会は、絶対王政時代に力を弱めつつも消滅に至らず、近代議会に接続した稀な例である。議会は国王が掌握する行政府に課税承認権を盾にとって対抗し、行政の恣意を制限しようとした。国王との対立が決定的になると、清教徒革命で国王を処刑し、名誉革命で国王を追放した。名誉革命以後の議会は引き続き国王の行政権力を認めたが、しだいに権限を拡大し、18世紀半ばに議院内閣制を実現して行政に対する優位を確立した。現在の歴史学会の通説では、フランスに脅威を感じたオレンジ公がイギリスの動向に目を着け、その大義名分として権利章典の内容をなすビラをばらまいたとされる。
フランスの封建議会(三部会)は、絶対王政の時代に開かれなくなった。財政難と貴族勢力排除のために国王が三部会を招集すると、三部会の第三身分(平民)議員を中心とする多数派が制度改革を求め、フランス革命がはじまった。革命派は社会契約説を根拠に国民主権を宣言し、国民主権の唯一の担い手として議会を位置づけた。以後の反動でこの理念の実現は長く妨げられたが、国内外の共和主義の理想として影響力を持った。
議会と政治体制
議会は立法をつかさどり、立法府とも呼ばれる。民主主義体制では、議会が制定する法律が本来的な上位の法であり、政府が定める政令等は補完的・従属的である。民主主義体制下の議会は、予算承認権をはじめとして、行政に対する監視・監督のための様々な権限を持つ。
こうした議会の諸権限は、行政府の権力集中に対する重要な牽制となっている。独裁をもくろむ権力者は議会の諸権限を剥奪しようとするし、議会の諸権限を剥奪した権力者は独裁者に転じる。近代以降の非民主主義体制は、ごくわずかな例外を除き、上記の諸権限を備えない弱い議会を持つ。
ただし、議会が強い権限を持つことが、そのまま民主主義体制を意味するわけではない。国民の中の少数派や多数派を排除する体制がある。初期の議会では、財産や納税額によって選挙権が制限されており、性別による制限は20世紀まで続き、人種による制限を持つ国もあった。
近代の立憲体制は、議会と政府の関係によって、議院内閣制、大統領制、会議制に大別される。議院内閣制では、議会が行政府の長を選び、また辞めさせる権限を持つ。大統領制では、行政府の長は議会と別の基盤から選ばれ、議会はこれを辞めさせることができない。両者の中間として、半大統領制がある。会議制は、内閣や政府を介さす議会がそのまま行政官庁の頂点に立つものである。
議院内閣制は日本の他にイギリスやドイツに、大統領制はアメリカ、半大統領制はフランスに、会議制はスイスに見られる。
議会の制度には、微妙に異なる権限を持つ二つの議会を設ける二院制と、一つの議会を設ける一院制がある。二院制は身分ごとに会合した中世ヨーロッパの身分制議会の遺制である。それぞれの院は様々な呼ばれ方をするが、そのうち国民を平等に代表するものを下院、身分・地域などにもとづく特別な代表方式をとるものを上院と呼ぶ。