聖餐
聖餐(せいさん)とは、新約聖書のキリストの最後の晩餐における制定を記念してパンとぶどう酒を聖別(成聖)し、それを飲食する典礼の一種。一般のキリスト教会では秘跡(サクラメント)として扱われる。聖餐は主にプロテスタントの用語で、カトリック教会では聖体の秘跡または単に聖体、東方正教会では聖体機密(機密=秘跡)と呼ぶ。
この聖体の秘跡の祭儀をカトリック教会ではミサまたはミサ聖祭、東方正教会では聖体礼儀という。
聖餐で食する行為そのもの、すなわち聖餐に与ることを、プロテスタント教会では陪餐、カトリック教会では拝領、東方正教会では領聖とよぶ。
プロテスタント教会では秘跡としての聖餐と食事としての陪餐との区別はあまりないが、カトリック教会の場合は典礼に直接参加しない病人などの元へも聖体が運ばれる事から、聖体の秘跡と聖体拝領とは若干区別される。
カトリック教会では、聖体の秘跡においてキリストの犠牲の功績が及ぶのは、聖体を拝領をした者のみならず教会の構成員全体に及び、特に煉獄にいる死者の霊魂のためでもあると考える。
煉獄の教義をもたない東方正教会においても、聖体機密は、生者と死者の双方の記憶を神に祈願する場であり、信者は聖餅(せいパン)に生者と死者の名を書いた紙を附して司祭に記憶を依頼する。なお東方正教会において聖体に変化するのは、聖餅から切り取られて奉献された一部であり、残りはアンティドルとして聖体礼儀後、非信者を含む祈祷参加者に分与される。また信者は記憶・成聖された聖餅を祈祷後に持ち帰る。記憶の対象とされるパンが信者により持参されることもあり、ヨーロッパ圏では信者が自宅からパンを持参するのがむしろ普通である。聖パンは聖堂から持ち帰ることができるが、聖体は聖堂の外に持ち出せず、聖堂の中で食しきらなくてはならない(病人に領聖させるための聖体は聖体礼儀での聖体とは別に、至聖所に年間通して安置される)。東方正教会では信者は領聖時にひざまずき、すでに尊血(聖変化した後のぶどう酒)に浸された聖体を、司祭が酌で口内に入れる。