高速バス
高速バス(こうそくバス)とは、高速道路を主に通行する路線バスのことを指す。
概要
一般的には、距離が数十から数百キロの都市間輸送ないしは都市と観光地を結ぶものの中で、高速道路を利用するものを指す。ただし、高速道路上(道路標識など)では単純に「路線バス」と記載されている。また、リムジンバスとも特急バスとも称されることもある都市と空港への連絡バスや、都市内輸送をする路線バスの中にも、経路上高速道路等を常に通過するものも存在するが、それらについては一般に「高速バス」とは呼ばない。ただし、営業案内の中では一般道路を経由するものと区別するためにそれらの事を「高速バス」と明示される場合がある。また、「はとバス」等定期観光バスで、経路上高速道路を常に通行するものも除かれる。
高速道路を通行する事から、バスの着席定員以上の乗客を乗せて運行することが出来ないため、所要時間1時間程度までの短距離路線など一部を除き、事前に席を予約する座席指定制を採用する事が多い。短距離路線や、東名、名神高速バスなど長距離路線の一部では、一般路線バスと同様に予約不要だが、定員以上は乗車できない定員制を採用している。
鉄道と異なり道路を利用する関係上、天気などの気象状態のほか、行楽シーズンや突発的な交通事故などの発生による渋滞や通行止めなどにより、定時運行ができないリスクがあることを覚悟する必要がある。
客層は、短距離路線ではビジネス客も多いが、中・長距離では女性や学生(いわゆるバックパッカー)など、金銭的な予算はかけられないが、時間的な余裕は取れる層が多い。
沿革
日本では、 1964年 - 名神高速道路開通により、名神高速バス(名古屋―京都・大阪・神戸)開業。 1968年 - 中央自動車道の一部完成により、新宿―富士五湖間の長距離バスを中央自動車道(調布―八王子)に乗り入れ。 1969年 - 東名高速道路開通により、東名高速バス(東京―名古屋)および東京―関西を結ぶ夜行バス開業。これ以降、旧盆や年末に、貸切バスを利用した会員制「帰省バス」と銘打った大都市から地方都市への長距離バスが運行されるようになる。
1980年代後半から、高速道路網の拡大やバスの運行免許の発給用件の緩和により、大都市のバス業者と地方の業者が相互乗り入れ(共同運行)する形で路線拡大が急速に進み、全国ネットを確立した。初期に開設された路線としては品川―弘前・新宿―博多など長距離夜行路線が中心であったが、その後、新宿―高山・難波―東京ディズニーランドなど鉄道や飛行機が直行しない路線にも広がりを見せた。
これらの高速バス、特に夜行バスは、座席を一脚ずつの独立タイプとしてスペースにゆとりを持たせ、運賃も鉄道の普通運賃並で安価なことから、特に女性や学生からの人気を獲得して現在に至る。
近年では東京都内(東京駅・新宿駅)―名古屋・京都・大阪市内や東京都内―仙台などの昼行便(JR系会社(ジェイアールバス関東・ジェイアール東海バス・西日本ジェイアールバス・中国ジェイアールバス・ジェイアール九州バス)の昼特急など)や、観光バスと同様の四列座席にして定員を増やして運賃を下げた夜行便(JR系(ジェイアールバス関東・ジェイアール東海バス・西日本ジェイアールバス)の「青春ドリーム号」、京王・近鉄系(多摩バス・近鉄バス)の「カジュアルツインクル号」、東武・近鉄系(東北急行バス・近鉄バス)の「フライングスニーカー号」)などが安価な都市間交通手段として人気がある。
その一方で、規制緩和によるバス事業の自由化に関連し、共同運行の大都市側の事業者が撤退(地方側の事業者のみで運行。主な理由は人件費の格差のため。)したり、採算の取れないマイナー路線は淘汰されつつある。
また、規制緩和と引き替えに、交通違反などの各種法令に違反した場合の罰則規定が新たに設定された。違反の状況に応じて営業所単位で違反点数が付加され、過去3年間の違反点数が一定以上になると、バス事業の停止や取り消しなどの処分が行われる。そのため、高速バスで違反した事業者は、国土交通大臣および各運輸支局の命令により、一定期間、違反した営業所での路線の開設や参入が禁止される。
現在、以下の事業者の営業所がこの罰則規定を受けている。()内は管轄の運輸支局 日立電鉄バス神峰営業所(水戸) 整備不良(スピードメーター故障) 茨城交通浜田営業所(水戸) 無免許運転・追突 - 運転手は酒気帯び運転で免許停止中だった。現行犯逮捕。 ジェイアールバス関東宇都宮支店(宇都宮) 飲酒運転・当て逃げ - 運転手は東京支店へ出向していた。現行犯逮捕。 ジェイアールバス関東東京支店(足立) 飲酒運転・当て逃げ - 運転手は宇都宮支店から出向していた。現行犯逮捕。 ジェイアール東海バス名古屋支店(名古屋) - 過去に2回違反している 酒気帯び運転 - 運転手は現行犯逮捕。 高速道路上で後退 日本交通 (鳥取)米子営業所(鳥取) 車検切れのまま運転
座席指定制路線のチケットの買い方
本数の多い都市間路線の場合には当日に乗り場へ赴いても乗車券(チケット)が買えることが多い(よほどのケースを除いて満席になることがない)が、日中運行する最初の便や最終便、ならびに夜行路線の場合には早くから予約を入れないと満席になっていることが多い。従って、事前に何らかの手段で予約を入れる必要があるが、現在のところ、後述外部リンクの「発車オ~ライネット」参加路線や「名鉄高速バスドットコム」、「ハイウェイバスドットコム」以外ではインターネット予約ができない路線が多い(また、共同運行の相手側の会社が参加していない場合もある)。
この場合、バス会社の予約窓口に電話をかけ、席を押さえた上で、バス会社の直営窓口や大手の旅行会社から乗車券を購入することになるが、旅行会社から購入する場合には鉄道や飛行機と異なり、規定の運賃以外に「手数料」と称する割増金を取られる(俗にいう「ぼったくり」)ことが多い。
一部路線ではコンビニエンスストアでのチケット購入が可能なほか、自宅や会社などのパソコンとプリンターを使った「インターネット乗車票」サービス(インターネットでバス会社のウェブサイトにアクセスし、乗車票ページを印刷して乗車券の代わりとするもの。支払手段はクレジットカード。)や、iモードやボーダフォンライブ、EZwebに対応した携帯電話を利用したチケットレスサービス(バス会社のウェブサイトにアクセスし、二次元バーコードをダウンロードして、電話機にバーコードを表示して乗車する。支払手段はクレジットカード、あるいは携帯電話料金と合わせて請求)も行われていることがある。
JRバスの夜行便(「ドリーム号」など)の場合は、JR駅のみどりの窓口で規定の運賃で乗車券の予約・購入が可能。
諸外国での状況
海外では、鉄道や航路の未発達な発展途上国を中心に利用されているが、先進国・準先進国でも、高速道路が発達した地域では、多くの路線が設定されていることが多い。フィリピンやペルー、ドイツや台湾はそれぞれの例である。特に鉄道・航空機との競争が激しい台湾では、路線によっては2列シート、按摩、おしぼり、個人TV、バスガールつきの豪華な都市間高速バスが24時間体制で運行されている。一方アメリカ合衆国では、アラスカを除く本土全土に路線網を有する「グレイハウンド」高速バスがあるが、鉄道のアムトラック同様 国土が広いため、全土の移動手段としては時間がかかりすぎる(日本の高速バスの距離程度のサンフランシスコ―ロサンゼルス間で8~10時間程度、大陸横断では乗り継ぎで4日程度要する) 1980年代以降の航空自由化により国内線航空運賃の値下げが行われた結果、航空機での移動が一般的になり、高速バスの客層が低所得者層主体になり雰囲気が悪化した。 バスターミナル(デポー)周辺環境の悪化。特にニューヨークやロサンゼルスなどの都市部では、夜間は危険な場所にあることが多い 等の理由で、都市間交通は高速な航空機の独擅場と化し、都市間バスは淘汰されつつある。
関連項目
日本の高速バス一覧 直行便 青春18きっぷ
外部リンク
高速バスの区間検索 名鉄高速バスドットコム:名古屋鉄道が運営している名古屋鉄道グループおよびその共同運行会社で担当する高速バスの空席紹介、会員制の予約サイト ハイウェイバスドットコム:京王電鉄バスが運営している京王電鉄グループのバス会社およびその共同運行会社で担当する高速バスの空席紹介、会員制の予約サイト 発車オ~ライネット:三共システム工房が運営している、運行会社の枠を超えたインターネットや携帯電話による多くの高速バスの空席照会、会員制の予約サイト 「関西バス」:東京・横浜と京阪神を結ぶ会員制バス。主催旅行(ツアー)の形態を取っているが、実質的には路線バス。JR系の「青春ドリーム号」登場のきっかけを作ったといわれる。日によって料金が変動。