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NTSC

NTSCは、アナログカラーテレビ放送に関する規格である。

"National Television Standards Committee"は、アメリカのアナログテレビジョン方式に関する規格を定めた。この方式が非公式に委員会の略称"NTSC"として呼ばれることになった。

NTSCは、アメリカの標準となっているだけでなく、日本や台湾、フィリピン、中南米諸国で採用された。

現在のNTSCは、カラー化にあたって以前(白黒時代)のNTSCとは変更されている。具体的には色信号の情報を3.579545(正確には315/88)MHzの副搬送波で送るようにしたことで、これに伴い以前のNTSC白黒受像機でも受信出来るよう互換性を保つため細部の変更も行われた。

NTSCの画像は1秒間に29.97枚の飛び越し走査フレームで構成されている。各フレームには480本の垂直解像度があり、525本の走査線で構成されている(表示に使われていない部分は、同期信号、垂直帰線、また字幕信号などに使われている。)。NTSCは飛び越し走査であり、偶数ラインは偶数フィールドで、奇数ラインは奇数フィールドで描画される。飛び越し走査により、おおよそ59.94(60Hz/1.001)Hzで表示したときとだいたい同じくらいフリッカーの少ない画面を得ることが出来る。

59.94Hzというのはアメリカにおける交流電源の周波数60Hzに近い。(これと比較して、ヨーロッパのPAL規格は、リフレッシュレート50Hzで走査線625本の表示を行うが、ヨーロッパの交流電源の周波数は50Hzが標準である。そして、PALの画像はNTSCと比較してフリッカーが多い。)
初期にはテレビ放送の際にフィルム撮影していたが、リフレッシュレートを交流の周波数と同期させることで、テレシネの際の同期が非常に簡単になるという利点があった。また、画面のリフレッシュレートを電源周波数と同じにすることで、波の干渉による黒縞が画面に出ることを避けることもできた。

カラー化のために、NTSCには色信号の副搬送波が含まれているが、この周波数は特に水平同期周波数の倍数ではなく、それゆえ同期のためカラーバースト信号を含む必要がある。カラーバースト信号は信号の先頭(水平同期パルスの後、映像信号の始まる前の未使用区間)に含まれており、8~10個の無変調副搬送波で構成されている。

NTSC信号とそのほかの2つの映像規格(PAL及びSECAM)との間でフレーム周波数が違うことは、信号変換において最も難しい部分である。フレーム周波数が違うことで、変換するにはフレームとフレームの間にどんな画像が来るのか予想する設備が必要であり、予想には副作用を伴う。そして、慣れた人にはそれが信号変換したものかどうか即座にわかってしまう。

NTSCのテレビチャンネルの帯域幅は6MHzである。このうち下側250kHzはガードバンドであり、ここには何の信号も含めない。これは映像信号が下隣接チャンネルの音声信号と干渉を受けるのを防ぐためである。映像信号は振幅変調されており、下端から数えて500kHzと5.45MHzの帯域を占めている。映像キャリアは下端から1.25MHzにある。他の変調された信号同様、映像キャリアはその上下に1つずつ2つの側波帯を持つ。帯域幅はそれぞれ4.2MHzであり、上方側波帯はそのまま伝送されるが、下方側波帯は残留側波帯として750kHzのみ伝送される。映像副搬送波は映像信号の3.579545MHz上方にあり、直交振幅変調される。各チャンネルの上側から250kHzには音声信号があり、周波数変調されているが、これはFMラジオの変調と互換性がある。主音声の搬送波は映像キャリアの4.5MHz上方にある。規格の拡張により、音声は多チャンネル(2ch)伝送することもできる。主な用途はステレオ放送や2ヶ国語放送、解説放送である。ただし、日本の多チャンネル伝送規格とアメリカの多チャンネル伝送規格の間には互換性がないため、それぞれの規格に応じた受信機を用いないと主チャンネルしか受信することができない。

映像の専門家やテレビ技術者はNTSC方式をそれほど尊敬しておらず、ジョークでNTSCが"Never The Same Color"(二度と同じ色は出ない)や"Never Tested Since Christ"(キリスト以来テストされてない)の略称だと言ったりする。一つには、飛び越し走査による画面はビデオ編集の際に障害になるからである。加えて、電波妨害によりNTSCは画質低下を起こしやすく、その際にカラーバランスが崩れるのを受信者が補正する必要があるからである("色調"、とか"色合い"というNTSC受信機に必要なつまみは、PALやSECAMの受信機には特に必要ないものである)。そして、NTSCの525本という解像度は機器の能力の割には低品質に見えるという不満がある。

なお、アメリカではテレビ放送のデジタル化の為に"Advanced Television Standards Committee" (ATSC) と呼ばれる規格が設定された。これはNTSCと互換性を持たない規格だが、アメリカにおける地上波放送は段階的にATSCに移行し、最終的にはNTSCによる放送は全廃される予定である。

参考文献

• NTSC規格の定義は、1998年にITUからRecommendation ITU-R BT.470-6,Conventional Television Systems.として出版されている。



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