OVA
OVAは、オリジナル・ビデオ・アニメーション(Original Video Animation)の略(最近では、オリジナル・ヴィジュアル・アニメーション、Original Visual Animationの説もあり)であり、テレビ放送や劇場公開を目的とせず、専らビデオ・DVDでの発売もしくはレンタルを目的に作られるアニメ作品である。人気が出れば後にテレビ放映・劇場公開される場合もあるし、テレビアニメの続編をOVAで制作する事もある。OVA初期にはOAV(オリジナル・アニメーション・ビデオ)という表現もよくなされたが、現在はかつてほど使われない。
OVA作品の例
機動警察パトレイバー テレビ、劇場で放映された作品の他にOVAも存在している。 装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日 戦闘妖精雪風 タイムボカン王道復古「チキチキ・ウゴウゴ・ホゲホゲマシーン猛レース」 タイムボカン王道復古「ヤッターマン タツノッコン王国で同窓会だコロン」 トップをねらえ ブラック・ジャック マクロスプラス
歴史
OVAの歴史は、1983年に、『ダロス』が発売されたことにより始まる。最初期のOVAは、1本が2万円近くするものも珍しくなかった。このような形態での作品製作が可能になったのは、当時増えつつあったレンタルビデオ店の影響が大きい。当初からアニメは作品数が少ないわりにレンタル店では常に人気だったのである。これは、海外映画は字幕作品が多く、日本映画は版権の関係で本数が少なかったため、必然的に低年齢・ファミリーが見られる作品がアニメに絞られたことによる。販売代金だけで製作費の回収が可能であるとはっきりすると、多くの発売元から続々と多数のOVAが発売されはじめた。その後、OVAは、アニメの発表の場として重要な位置を占めるようになるが、2004年現在、そのリリース状況は鈍化している。これは、かつてはOVAとしてリリースされたような作品が、現在はキッズステーション、アニマックスなどのケーブルテレビ局の目玉商品として先行的に放映されたり、独立系UHF局で放映されることがしばしば行われるようになったため、放映・上映されていない作品が最初にビデオソフト化される、というOVAの定義に正確に合致しなくなってきたためでもある。個人のアニメファンが自ら好んでアニメのソフトを購入するということがはっきりすると、それらの層を対象にしたアニメも作られるようになった。
OVAはアニメに新たな変化をもたらした。OVAでは、スポンサーの玩具メーカーの意向を聞かずに製作ができ、また、毎週24分ぶんの映像を準備する必要もなかった。映画のように、制作費以上に宣伝費がかかるということもなかった。このため、多くのアニメスタジオが競ってOVAを出した。これらの中には、それまでの児童向けアニメでなく、それよりも高い年齢層を対象としたものも多くあった。それまでは、狭い年齢層や、特定の趣味を持つ愛好者などを対象にしたアニメはテレビでの視聴率がとれず、つくりにくい状況があった。しかし、OVAはそのような作品の製作を可能にした。具体的には、熱狂的なファンはそれなりの数いるが、作品の内容が一般的でなかったためにあまり作品がアニメ化されなかった、新谷かおるのような漫画家の作品が、初期に相次いでOVA化されている。レンタルビデオ店の18禁コーナーに陳列される成人アニメも、OVAとして1984年には既に存在した。これらのOVAの成功は当然ながらテレビアニメや劇場アニメにも大きな影響を与えた。
OVAが想定する購買層は、前述したとおり、15~40歳程度の独身男性とレンタルビデオ店である。OVAの価格は敢えて高め(5800~9800円程度)に設定される。これらの層は比較的高額でもビデオソフトそのものを購入することが多いため、その売り上げによって直接資金を回収する。宣伝や作品内容もそれらの層をピンポイント的に狙って行い、効率的に資金回収できるようになっている。OVAは少人数で長時間かけて製作されることが多く、内容さえ大きく外さなければ、半年かけて30分の作品1本を完成させる程度のペースでの制作サイクルでも資金回収が成り立つシステムになっている。近年ではレンタル展開をせず、一般向けの販売だけで資本を回収するものもある。
OVAの主な種類
ここでは、OVAの主な種類について述べる。この特徴は、OVAから派出し、ケーブルテレビ局やWOWOW、独立系UHF局で先行的に放映されたのち、直後にビデオソフト化される作品も含む。これらの作品がテレビ放映される場合、そもそもスポンサーがつかなかったり、製作会社そのものがスポンサーになっていることが多い。これは、放映が作品の宣伝を兼ねていて、見られなかった者が見た者から情報を得て、その後購入者となることを想定して放映されているためである。OVAが対象としている視聴者及び購入者は、ある程度の収入のある高年齢層の独身男性である。これらのファンは、作家性の高いアニメや、自分の性的嗜好に沿ったアニメを非常に好む。このようなアニメのファンは特に、20代から30代の独身男性が多いが、女性もいる。ただし、女性を対象にした作品はあまり多くない。
前者の例は、押井守の『機動警察パトレイバー』(1988年)のような著名アニメ作家の作品がある。ストーリーや設定を重視したものが多い。内容はさまざまだが、架空の世界や遠未来、近未来などを舞台にとり、独自に設定された乗り物や武器が登場するものが好まれる。アニメのスタッフは無名でも、原作が著名なことも多い。現在、インターネットなどで検索をかけると、これらの作家に関するファンページや情報が多くヒットするが、これはそれらのファン層とインターネットの利用者層が重なっているためで、そうでないアニメの評価が著しく低いというわけではない。
後者の例は、HAND MAID メイ(2000年)がある。この種のアニメの女性キャラクターは、性的特徴(特に胸など)を極端に強調したり、従順すぎるほど男性主人公に従順な性格だったり、メイド服やセーラー服を標準のコスチュームにするなど、一部の成年男性に対して性的な嗜好を刺激する特徴を持つ。ただしこのようなアニメは日本が元祖ではなく、アメリカでは1930年代に既にベティ・ブープ()という先例があった。現在日本で製作されているこの種のアニメは、何らかの特徴がベティ・ブープに一致するものが多い。なお、これらのアニメでは、直接的性描写があるものもあるが、ないもののほうが多い。この種のアニメは種類が細分化されており、極端な幼児体型の女性キャラクターが登場するものや、没個性的な男性主人公が多くの女性キャラクターにかこまれて日常生活を送るもの(ハーレムアニメ)も根強い人気がある。この種のアニメは、成年アニメによく似ているが、概念としては異なる。ただし、それらの趣味のない一般人から見るとどちらも同じにしか見えない。
これらのアニメも関連するアニメグッズが製造され、それにより資金回収が行われることも多い。これらのグッズはアニメショップといわれる専門店で販売され、子供向けアニメのグッズのように一般販売店で売られることはまずない。販路などを絞ってコストや売れ残りを削減し、それらの販売店へわざわざ出かける人々のみを対象としたビジネスが成立している。
関連項目
UHFアニメ